呼吸パターンを変えることで、コロナウイルスへの曝露を減らせるか?
the peper perspective
Posted: April 1, 2020 | Author: erikpeper Erik Peper
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こちらもコロナウイルスについての、米国サンフランシスコ州立大学健康教育学部教授のエリック・ペパー先生のブログです。先生に前回のブログを日本語に訳して皆さまと共有したいとお願いした際に、今回のものともう一つ(次回アップします)についても紹介することを勧めて頂きました。
英語でのオリジナルは、こちらをご覧ください。
皆さまのコロナ対策の一助となれば幸いです。
*これらは現時点(2020年4月1日)でのコロナウイルスについての情報ですので、今後変わっていく可能性はあるかと思いますので、その点はご留意ください。
*またこの日本語訳は感染症の専門家でも医師でもない私が翻訳したものですので、もし間違いがあった場合にはお知らせ頂けますと幸いです。
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このブログは、1990年代に始まった呼吸に関する研究に基づいています。この研究は、病気の原因となる機能不全の呼吸の特定に役立ちました。
呼吸のパターンを最適なものにし、健康を増進し、パフォーマンスを改善するために、バイオフィードバックを用いたコーチング/教育戦略を開発しました (Peper and Tibbetts, 1994; Peper, Martinez Aranda and Moss, 2015; Peper, Mason, and Huey, 2017).
たとえば、喘息がある人々には、タバコの煙や他の空気中の刺激物に対する反応性を低下させるように指導しました (Peper and Tibbitts, 1992; Peper and Tibbetts, 2003).
人が息を吐くと、たばこや電子タバコの煙は広がります。もしその人が感染していると、この煙は、図1に示すように他の人々が吸い込むことになるウイルスの霧を表しています。
図1. ラトビアのリガで電子タバコを吸う若者 (写真 Erik Peper).
呼吸の仕方を変えるために、参加者はまず自然なゆっくりとした横隔膜呼吸を学びました。 次に、タバコの煙などの空気中の刺激物に気づいた瞬間に、息を止めて体をリラックスさせ、非常にゆっくりと鼻から息を吐きながら、空気の汚染源から離れていくように教えました。空気が澄んだら、横隔膜呼吸で自然な呼吸をつづけました。(Peper and Tibbetts, 1994).
この研究から、私たちは呼吸パターンを変えることによってコロナウイルスへの曝露を減らすことができるかも知れないと提案しています。しかし、最初のステップは、推奨される公衆衛生ガイドラインに従うことによる予防です。
- ・社会的距離をとる(社会的サポートの提供を続けつつ身体的な距離を取る
・少なくとも20秒間、石鹸で手を洗う
・手で顔を触らない
・ドアの呼び鈴、ドアノブ、容器など、他者が触れた可能性のあるモノの表面のクリーニング
・マスクと手袋を着用して、他の人へのウイルス拡散を減らす。マスクはコロナウイルスに感染した人あるいは、無症状の保菌者によるウイルスの拡散を予防します。
呼吸パターンを変えることで、他の人が近くにいるときのウイルスへの曝露を減らす
通常、私たちがビックリしたり驚いたりすると、すぐにハッと息を呑み、空気を急いで吸い込む傾向があります。
誰かが近くでくしゃみをしたり、咳をしたり、息を吐いたりすると、私たちはわずかに息をのみ、その飛沫を吸い込んでしまうことがよくあります。
飛沫(コロナウイルスを含む可能性があります)の吸い込みを減らすには、次のことを実施します。
- 人が近づきすぎたとき
・口を閉じて、肩をリラックスさせて息を止め(息を止めるだけです)、その人から遠ざかります。
・鼻から静かに息を吐きます(息を吐く前に吸い込まないでください)ー吐ける息がどれほど少なくても多くても、吐くだけです。
・十分離れたら、鼻から静かに息を吸います。
・息を止めるときは、リラックスして、肩が下に落ちていると感じることを忘れないでください。息を止めるのは、人から離れるとき、ほんの数秒間だけです。 息を吸い込む前に、鼻から息を吐きます。
- 人が咳やくしゃみをしたとき
・息を止めてその人から離れるように頭を回転させ、鼻から息を吐きながらその人から離れます。
・くしゃみや咳の飛沫が、あなたやあなたの服に着いたと思われる場合は、家に帰り、家の外で衣服を脱ぎ、服を洗濯機に入れてください。 シャワーを浴びて、石鹸で体を洗います。
- あなたの前にいる人やあなたに近づいてくる人を通り過ぎるとき
・彼らに近づき過ぎる前に息を吸い込み、彼らと通り過ぎるとき鼻から息を吐きます。
・6フィート(約1.8m)以上離れたら、鼻からゆっくりと息を吸います。
- 外で人と話すとき
・風が同じ側から両方の人に当たるように立って、吐き出された飛沫が両方から吹き飛ばされるようにします(風下)。
これらの呼吸スキルは、一見とてもシンプルに見えます。しかし、喘息やその他の症状を持つ人々との私たちの臨床経験では、その人の自動的な呼吸パターンを変えるには練習、練習、また練習が必要でした。
新しいパターンは、呼吸をいったん止めて(止めて)から、鼻から息を吐き出すというものです。この呼吸パターンは強制されたものではないということと、練習によって楽に出来るようになるということを忘れないでください。
参考文献
Peper, E., Mason, L., Huey, C. (2017). Healing irritable bowel syndrome with diaphragmatic breathing. Biofeedback. (45-4). /