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天岩戸神話とコロナ明け

天照大御神

枝年昌 / Public domain

日本では、ようやく非常事態宣言が解除されました。ホッとされている方も多いのではないかと思います。

 

けれど、いま、精神科医や心理士など、多くのメンタルヘルスに関わる人たちが気にかけていることがあります。

 

それは、「荷下ろしうつ」と呼ばれるものです。

 

荷下ろしうつとは、一生懸命に頑張った後に、ドッと疲れが出ることで生じる抑うつ症状のことです。

 

通常、頑張っている最中というのは、必死なものですから疲労に気づきにくくなります。

 

また、ストレス反応には①警告期、②抵抗期、③疲はい期、という三段階があって、ストレスを感じてから直後は様々な身体的・精神的なストレス反応がありますが、少し経つと一時的に抵抗力が強まって、何事もなかったかのように過ごせてしまいます。けれど、その状態が長期化すると、一気にダメージが押し寄せてくるのです。

 

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緊急事態宣言発令中は、皆さん、意識的、無意識的に強い緊張を感じていたことと思います。

 

気にしなければいけないこと、やらなければいけないことが急に増えて限界を感じながらも、自分がやるしかないと走り続けた方も多かったことと思います。

 

睡眠不足や体のだるさや痛みをぼんやりと感じながらも、それどころではないと頑張って来られたと思います。

 

そうして抱えてきた疲労が、気が緩むことで一気に押し寄せて来るのが今の時期です。

 

 

けれど、どうぞこれをネガティブに捉えないでください。これは私たちの命を守る、とても大事なサインなのです。

 

何のサインかというと、「あなたは十分頑張りました」というサインであり、「あなたには休息、セルフケアが必要」というサインです。

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もしも睡眠時間が確保できていなかった方は、まずは眠りましょう

 

神経が高ぶってしまって眠れない場合には、市販の睡眠導入剤などの助けを借りる方法もありますし、メラトニンという睡眠ホルモンが夜にしっかりと放出されるように、朝の光を浴びるようにして、夕方以降は家の中の明かりを少し薄暗くしておくのも大事です。

眠る前に、濡れたタオルをレンジで温めてホットタオルを作って目の周りを温めることで副交感神経が優位になりリラックス出来ますし、皮膚温が上がることで、カラダの熱の放熱が促されて眠気も感じやすくなります。

 

 

また、カラダの筋肉の緊張をほぐしていくために出来ることもやってみてください。

 

筋肉にはフィードバックシステムがあり、筋肉に力が入って緊張していると、自律神経に影響を与えます。

 

ですから、出来るだけ筋肉の緊張をゆるめていくことが重要です。

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首や肩の緊張奥歯の噛み締め腕の緊張お腹の緊張など、ストレスを感じると力が入りやすい部位を中心にゆるめていきます。

 

入浴剤などを入れてぬるめのお風呂に浸かるのも良いですし、先ほど同様、濡れたタオルをレンジで温めたホットタオルで首や肩を温めることで血流を良くする方法もあります。

ストレッチで伸ばしたり、マッサージなどでもみほぐすのも良いです。

 

そして、忘れてはいけないのが、心の緊張を解くこと

 

そのヒントを探るために、日本の神話である天岩戸神話を見てみたいと思います。

 

 

天岩戸神話

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Public domain
 

古事記には、弟である速須佐之男命(はやすさのおのみこと)が乱暴を働いたことを見て畏れた天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、天岩戸に引き篭もってしまうことで世界が闇に包まれてしまう、という神話が出てきます。

 

太陽神である天照大御神が隠れてしまったことで、天上世界である高天原(たかあまのはら)は暗黒となり、地上の葦原中国(あしはらのなかつくに)も、真っ暗闇になってしまいます。

 

夜ばかりが続き、神々の騒がしい声がまるで五月の蝿のようにみち広がり、万物の災いがいっせいに起こります。

 

困った八百万の神々は高天原の河原に集い、どうしたものかと相談し、様々な儀式を行うことにしました。

 

と、勾玉で出来た一連の数珠を作らせ、榊(さかき)の木の枝に、その鏡と数珠と祭具を垂らして下げ立派な捧げものとして奉り、祝詞をとなえます。

 

天手力男神(あめのたぢからおのかみ)という怪力の神さまが岩戸のそばに隠れて立ち、

 

天宇受売命(あめのうずめのみこと)は、桶をふせてその上に乗り、神がかったように胸をあらわにし、裳という腰から下の衣服を陰部まで押し下げて踊ります。

 

するとそれを見た八百万の神々は、高天原が鳴り轟くように一斉に笑いました。

 

岩戸の外の盛り上がりを不思議に思った天照大御神は、思わず岩戸を少し開けてしまいます。そして天宇受売命に、「なぜ天宇受売命は舞い遊び、八百万の神々は笑っているのか」と問います。

 

天宇受売命は、「あなた様よりも貴い神がいらっしゃっているので、喜び、笑い舞い遊んでおります」と答えると、別の神様が先ほどの鏡を差し出します。

 

鏡に写った自分の姿をその貴い神だと思った天照大御神は、ますます不思議に思い、そろそろと岩戸の戸口から出てきたところを、そばに隠れていた天手力男神がその手を取って引き出してしまいます。

 

こうして無事に世界は、光を取り戻したのです。

 

笑い、好奇心、太陽の光

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さて、「笑う」は、「割る」に通じるものです。

 

岩戸を破り、闇を割ることが出来たのは、笑いです。

 

この天岩戸神話と共通したモチーフは、ギリシャ神話にも見られます。

 

ペルセポネーを冥界の王ハーデースにさらわれた豊穣の女神であるデメテルは、娘を探してさまよった後に、エレウシスにある井戸のそばに座り込んでしまいます。

 

誰もデメテルを慰めることが出来ずにいるなか、性器を象徴する女神と言われるバウボがきて、卑猥なダンスを踊ると、デメテルがつい笑ってしまうのです。

 

神話学者のキャンベルは、これを「卑猥さやわいせつ性が、これまでとは別の視野を与える」と表現しています。さらに、「こうしてあなたは、でき上がった人間の領域から離れ、創生や再創造の自然力学のなかで、悲嘆という束縛から解放されるのです」と言います。

つまり卑猥さやわいせつ性というものには、自己超越させる力があると言うのです。

自己超越とは、時間や空間に制約された生活の現象面を超えた深遠なる存在の本質への超越です。


笑いにもまた、そうした自己超越の力があります。

 

さて、話しが横道にそれてしまいましたが、ここでコロナ明けに話しを戻しましょう。

 

長いこと自粛して篭っていた私たちには、今こそ「笑い」の力が必要ではないかと感じます。

私たちも、この疲労感や抑うつ気分を、闇を「割る」ために、たくさん笑いましょう

もちろん、日常のなかで面白くて、楽しくて笑ってしまう場面があれば、それは素晴らしいことですが、

「笑う時間」を自分で作ることも出来ます。

お笑い番組、落語、コメディ映画などを観る時間を作って、たくさん笑ってください。
 

そして、天照大御神が鏡で自分の光を見たように私たちにも太陽光が必要です。

体内時計をリセットして自律神経を整えるためには、光がもっとも大事な要素です。

晴れて太陽が降り注いでいる日の野外は1万ルクスほどの光量があるのに対して、室内の蛍光灯など光量はその20分の1から10分の1程度しかありません。午前中に出来るだけ外で太陽光を浴びるようにしてお過ごしください。


もう一つは好奇心です。
 

天照大御神は、自分の好奇心によって外に出てきたのです。
 

外の世界の、面白そうなこと、好奇心をそそられることに意識を向けてみてください。

 

2020年05月31日 13:14

瞑想のススメ

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瞑想がなぜ必要?

 

私たち現代人は、絶え間ない外的な刺激にさらされています。

 

目から入ってくる様々な情報、物騒なサイレンやテレビやPCからのノイズ、携帯の着信音、数えたらキリがありません。

 

そうした刺激にさらされる度に、私たちの神経システムが反応し、常に活性化された状態にあります。

 

また私たちの心の内側でも、絶え間なく思考がさまよい、感情が乱れ、落ち着くヒマはありません。

 

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身体的な健康のレベルで言えば、刺激を受けるたびに私たちの交感神経は刺激されて、神経が逆立ちエネルギーを浪費しています。

 

副交感神経が優位なリラックスした状態がカラダや細胞の回復・成長モードだとしたら、交感神経優位の緊張状態では細胞は常にアクティブになり、回復・成長モードに入れない状態です。
 


瞑想によって神経が鎮まり、内面が平静になることで、ようやく細胞は回復の機会を与えられます。

 

また、精神的な側面・スピリチュアルな側面からは、常に意識が外を向いて、何かにとらわれていたり、心の表面に思考や感情のさざ波が立っている状態では、私たちの存在の本質を見る機会もありませんし、見ることも出来ません。

 

湖面が静かになり、まるで鏡のようにクリアになることで、その底にあるものが見えてくるのです。

そのマインドの湖面を静めて、底にあるものを見る手助けをしてくれるのが瞑想です。


そこで今回は、瞑想のメリットとそのやり方を詳しくご紹介します。

 

瞑想から得られるもの

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瞑想とは、意識のコントロールです。

 

内的そして外的な意識の集中をしていくことで、感覚や感情を静めて、神経や精神の苛立ちをコントロールしていくことができます。

 

数万時間に及ぶ瞑想の修行を積んだチベット仏教僧の脳波を解析した研究では、修行に費やした時間に比例してガンマ波という脳波が増加することが分かりました。ガンマ波は、強く集中している際に現れる高い周波数の脳波です。

 

また、前回のブログでも触れたように、僧たちの前頭前野は、より密度が濃くなり、別の脳の部位とのネットワークも強くなっていました。

 

特に、感情の働きに関わる扁桃体と前頭前野の結びつきが強くなっており、瞑想修行を積めば積むほど、感情をコントロールする能力が高まっていることが示唆されました。

 

瞑想には、臨床的にもストレス軽減の効果痛みを和らげる効果うつ病の再発率を低下させる効果などもあることがわかってきています。

 

イギリスで2000年頃からうつ病の治療に応用されたマインドフルネス認知療法という瞑想を取り入れた療法が、日本でもようやく心理臨床の場で取り入れられるようになってきました。

 

2つの瞑想のタイプ

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さて、瞑想の効果やメリットについて説明してきましたが、瞑想は体験です。

 

それは生まれつき目が見えない方に「色」について伝えることができないように、体験するしかないものなのです。

今回は様々な瞑想法の中から、集中瞑想(サマタ瞑想)観察瞑想(ヴィパッサナー瞑想)の二つの簡単なやり方をご紹介しますので是非、実践してみてください。

 

瞑想の種類 方法

集中瞑想

Focussed Attention

対象となる物、イメージ、考え、マントラ、チャクラ、感情などに意識を集中(フォーカス)する

観察瞑想

Open Monitoring

自分の呼吸や、考え、欲求、カラダの感覚などをひたすら気づいて観察(モニタリング)する

 

 

集中瞑想(サマタ瞑想)

 

瞑想の基本は意識の向ける先をコントロールすることです。コントロールとは、集中でもありますので、ある程度の集中力は観察瞑想にも必要です。
 

 

そこで、まず最初に集中瞑想を少し練習してみましょう。


 

1. 呼吸にフォーカスする

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①眠くなってしまわないように背中は真っ直ぐな状態でリラックスして目を閉じて座ります手は太ももの上に置いておくか、おへその前あたりで手の平を上にして重ねて置いておきます。


 

②ゆったりとした呼吸をしながら、呼吸と共に胸やお腹が膨らんだり萎んだりする感覚、鼻から空気が出入りする時の感覚や音などに意識を向けます。

 


③続けていると、だんだんと意識が別のところに向いて行ってしまうので、意識が散漫になったことに気づいて、また呼吸に意識を向け直す、ということを繰り返します。

 


最初は、2~3分から始めて、少しずつ慣れてきたら5分、10分、15分、20分と時間を長くしていきます。


 

2. キャンドルにフォーカスする

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今度は、外にあるモノに意識を集中していく方法です。

①目の前でキャンドルを灯したら、基本の姿勢を取り、キャンドルをひたすらじっと見つめます。

 

②しばらくしたら、目を閉じて、そのキャンドルを心の中でイメージしていき、心の目で見続けます。

 

③こちらも、続けていると意識が散漫になるので、それに気づいて、またキャンドルに意識を向け直す、ということを繰り返します。

 

こちらも短い時間から始めて、少しずつ時間を長くしていきましょう。

 

 

観察瞑想(ヴィパッサナー瞑想)


先ほどご紹介したマインドフルネス瞑想も、この観察瞑想の一つになります。

こちらは、集中ではなくプロセスに意識を向けていくものです。
 

ボーッとリラックスしているような時でも、しっかりと頭の中に生じていることを観察してみると、実は色々なことを考えていたり、おぼろげな記憶の断片的なイメージが浮かんでいたり、「足を動かしたい」「額をかきたい」と言った様々な欲求が浮かんでいたり、内臓や皮膚の様々な感覚が生じていることに気づきます。

 

こうしたとりとめのない、浮かんでは消えていく様々な感覚、思考、イメージといったものに、気づきを向けて、ひたすらモニタリングするのが観察瞑想です。

 

ポイントは、私たちは何かを感じたり、考えたりすると、それに対して「こんな風に考えるのはダメだ」と批判したり良い・悪いの判断をしがちですが、それにも気づいて、「今、◯◯はダメだという考えが浮かんでいたな」と観察することです。

 

生じていることに評価を下すのではなくありのままに観察していきます。


それでは、具体的なやり方です。
 

①基本の姿勢になる

集中瞑想と同様に、眠くなってしまわないように背中は真っ直ぐな状態でリラックスして目を閉じて座ります手は太ももの上に置いておくか、おへその前あたりで手の平を上にして重ねて置いておきます。
 

②呼吸に意識を向ける

先ほどと同様に、呼吸に意識を向けて息を吸ったり吐いたりするプロセスに気づきます。腹式呼吸で息を吸うときのお腹の膨らみと、息を吐くときに萎んでいく感覚に気づきます。
 

③頭に浮かぶ様々な考えをラベリングする

そうして呼吸に意識を向けていると、様々な雑念や、痛みやかゆみとなどのカラダの感覚が気になって来ることがあります。それが出てきたら「頬のかゆみ」「脚の痛み」とラベリングしていきます。出来れば、そうしたカラダの感覚に応じて頬をかいてしまったり、脚を動かしてしまうのではなく、放って置くとそれらは消えてしまうことがありますので、ただ観察してみることが出来るかも試してみましょう。

また、何か未来についてのモヤモヤが出てきたら「不安」とラベリングし、過去についての苦しい記憶が出てきたら「後悔」とラベリングするなど、内面的な雑念にもラベリングをしていきます。
 

④呼吸に意識を戻してあるがままに受け入れる

ラベリングをしたら、それについて良い・悪いの判断を下したり、入り込んだり無理に消し去ろうとすることなく、ありのままに受け入れてみます。このとき、呼吸とお腹の動きに意識を集中させるのがコツです。
 


こちらも集中瞑想と同様に、5分くらいから始めて少しずつ時間を延ばしていきましょう。
 

 

只管打坐 思惑や欲に囚われず、ただひたすらに坐る

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瞑想という習慣を身につけるために、アクションを起こすにはモチベーションが必要です。

 

そのためには、様々な瞑想のメリットを知っておくことは、大きな動機付けになることと思います。

 

けれど、一旦瞑想を始めたら、そうした「何かを求めて瞑想をする」態度は、逆に瞑想の妨げになってしまいます。

瞑想を始めても、初めは何も感じないでしょう。1週間、2週間たっても何の変化も起きないかも知れません。1ヶ月、2ヶ月たっても、カラダの不調も良くならず、心の平安も感じないかも知れません。

「これをしたら◯◯が得られる」という気持ちが強くなりすぎると、直ぐにそれが得られなかったらガッカリしてしまいますし、やる気も失くしてしまうことがあります。

そんな時こそ、道元の「只管打坐(しかんたざ)」という言葉を思い出してください。

 

意味は、ただひたすらに坐ること。


 

道元は、座禅をすること、それ自体が悟りである、と言っています。


成果や結果に執着しない、というのはヴェーダやヨガ、仏教や禅など東洋的宗教の偉大な教えです。


長い目でみてやる必要があることを淡々とやること、それが前頭前野の働きを活性化して意志の力を強化してくれる一番シンプルな方法かも知れません。

 

2020年05月24日 13:00

脳から活性化するウィルパワー

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ここ最近のブログでは、「生きる目的を持つ」「信念と、厳しい現実を直視する規律(自制心)」そして、「食べ過ぎのセルフコントロール」といった、「意志」の重要性を書いてきました。

 

この「意志の力」 が自分ではなかなか発揮できないと感じている方や、生まれつき弱いから仕方がない、と思ってしまったり、性格のせいに感じてしまっている方も多いのではないかと思います。

 

けれど意志の力は誰にでも備わっているものです。同時に、育てて活性化して行けるものでもあります。

今回は、より自分らしく生きるために、より気分良く生きるために大事な「意志の力」を活性化させるための秘訣をご紹介したいと思います。

 

意志力はカラダで鍛えられる!?

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では、この「意志の力」は、いったいどこから来るのでしょうか?

多くの方が、「意志の力」はとても純粋な精神力のように感じているのではないかと思いますが、

意志の力がきちんと発揮できるかどうかは脳・そしてカラダのコンディションと大きな関係があるのです。

つまり、意志の基礎力は、身体の状態、脳の状態にあると言えます。
 

もちろん、こころと脳は、まったくのイコールではありませんが、最近の心理学の研究や脳科学によって分かってきた「意志の力」を発揮するために必要な生理的なカラダのコンディションを知っておくことは有益だと思います。

 

脳の中の意志力の場所は前頭前野

「意志の力」を考える時に、一番重要な脳の部位は、前頭葉にある「前頭前野」です。

 

大脳にある前頭葉のうち、一番前の方、ちょうど私たちの額の後ろ辺りにあるのが、前頭前野(Prefrontal Cortex)と呼ばれる場所です。

 

この前頭前野こそ、人間を人間たらしめる脳の最高中枢部であると考えられています。

 

少し横道にそれてしまいますが、まずはこの前頭前野について深掘りしてみたいと思います。

 

前頭前野に関係している機能は、「意志力」を総合的に捉えるときに必要な力のオンパレードです。

ワーキングメモリー(同時に2つ以上のことをする際に使われるもので、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力)、欲求/衝動/行動の抑制計画を立てる、様々な情報を処理して推論する、目標・動機付け意思決定葛藤の解決
注意の集中、など。



つまり、前頭前野は総合的には、「ルーティンな行動では対応できないような状況で、様々な情報を処理、推論して把握し、それに対して適切な判断と意思決定を行い、行動を状況に合わせてコントロールしながら実行する」というような役割を果たしています。
 

これらは、アサジオリが「意志の働き」について研究した際の全体像にとても近いものです。

この前頭前野の働きが、意志力を発揮していくうえでいかに重要かが分かります。
 

前頭前野にダメージを与える睡眠不足とストレス

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さて、そんな大事な脳の部位なのに、私たちが日常的についやってしまっている、前頭前野の働きを鈍らせることがあります。

 

それは睡眠不足です。

 

なかなか睡眠時間が確保できない方にとっては少しショックかも知れませんが、なんと睡眠時間が6時間を切ると、前頭前野は効率的に活動できない状態になります。

 

代わりに、欲求や衝動、本能が活発に働いてしまうのです。

 

もう一つ、前頭前野に大きなダメージを与えるのがストレスです。もう少し具体的に言うと、ストレスを感じた時に放出されるストレスホルモンです。
 

最近、一つの仮説として注目されているのは、うつ病と前頭前野の関係です。

ストレスを受けると副腎からストレスホルモンが放出されます。

本来、脳には異物を入れないようにするバリア機構である脳血液関門と言うストッパーがあるのですが、ストレスホルモンは血流に乗って脳関門を突破してしまうらしいのです。

うつ病の方は、慢性的に放出されるストレスホルモンによって、前頭前野がダメージを受けた状態になっているのではないかと考えられています。

それ故、うつ病の治療には前頭前野の回復が必要なのではないかと言う方もいます。


また別の研究では、前頭前野の体積が大きな人は、大変な出来事をポジティブに受け止めるような楽観的な考えをしやすく

感情的な反応やストレスから身を守りやすい性格であることも分かりました。


ただ、嬉しいことに、前頭前野のダメージは私たちにも回復させていくことが出来ますし、体積を変えていくことも出来ます
 

前頭前野を活性化させ体積を増やす3つのポイント

ではここからは前頭前野をどうしたら活性化できるか考えてみます。

これらの方法は、うつ病によって前頭前野にダメージを受けやすいと言う仮説を考えるならば、

コロナによる不安、疲労、ストレスで「コロナ鬱」っぽく感じている方にも役立つのではないかと思います。

 

①生理的に前頭前野を活性化する方法、1つ目は睡眠です。

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とてもシンプルですが、睡眠のサイクルを整えて適切な睡眠時間を確保しましょう。

上述したように、睡眠時間を6時間以上に増やしていくことで前頭前野は効率よく働いてくれるようになるのです。

研究では、依存症を克服したいと思っている方の克服失敗の確率は、睡眠時間を伸ばすことによって格段に下がることが分かっています。つまり、1時間多く寝るだけでも、意志の力を発揮して欲求をコントロールすることに成功しやすくなったのです。

体内リズムを整えて、夜にちゃんと眠気がやってくるように睡眠のリズムを整えるポイントは、以前のブログでご紹介しましたので、よかったらご参考にしてください。→コチラ
 

②生理的に前頭前野を活性化する方法、2つ目は瞑想です。

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瞑想(メディテーション)の詳しいやり方などは、次回またご紹介したいと思いますが、

瞑想によって前頭前野への酸素と血流が増加することがわかっています。

これも睡眠と同じく、効果はすぐに表れます。たとえば1日10分の瞑想をはじめた人の前頭前野の状態は、数カ月後にはまったく変わって、体積も大きくなり他の部分との結びつきも強くなりました。

また、1日にほんの少し瞑想をするだけで、睡眠時間が増えることも分かっていますので、睡眠時間を増やすためにも瞑想は効果があります。
 

③生理的に前頭前野を活性化する方法、3つ目は運動(エクササイズ)です。

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もともと体を動かす習慣がなかった人が、定期的にエクササイズをするようになると、数ヶ月後には前頭前野の密度は濃くなり、体積が増え、他の脳の部分とのつながりも強くなることも研究で分かりました。

ヨガ、ウォーキング、ランニング、筋トレ、スポーツ、山登り、水泳なんでも構いませんので、続けられるものを無理なくやってみてください。

以上、前頭前野を活性化して密度を濃く、体積を増やす方法をご紹介しましたが、全てやらなくても大丈夫です。

取り組みやすいところから、ご自分のペースで始めてみてください。

2020年05月19日 14:00

これからを生きるためのサイコシンセシス 自分の芯を作る

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以前のブログで、強制収容所や捕虜生活といった過酷な状況をサバイバルしたフランクルやストックデールから、「生きる目的を持つ」こと、「信念と、厳しい現実を直視する規律(自制心)」の両方を持つことの重要性を紹介しました。

 

そして、前回のブログでは、食べ過ぎを防ぐために「巧みな意志」を使うことをご紹介しました。

 

これらは、すべて目先の欲求や、不安や恐怖といった感情に振り回されるのではなく

 

それらと上手に付き合いながら、自分の信念や目的、ビジョンを中心に生きていこうとする、

 

サイコシンセシスの目指す在り方と同じです。

それもそのはずです。サイコシンセシス は、誰にでもある人間としての可能性を最大限に発揮して生きた人々を研究し、そうした人々が心の内側で、何をしているのかを研究したものだからです。


フランクルやストックデールもまた、過酷な状況に置かれながらも、人間性を捨てずに、絶望や不安や恐怖に押しつぶされず、サイコシンセシス的に自分の信念や目的を胸に生きたのです。
 

コロナ禍によって世界中が大混乱に巻き込まれることは、少数の学者くらいしか予期出来なかったことですが、恐らくこれからも、私たちはそうした不測の事態を生きていくことになるでしょう。

 

その度に、私たちの心が揺れ、周囲の世界に振り回され、自分を見失いかけてしまうのは、苦しいですよね。

 

周囲の世界で何か起こると心が揺れてしまうのは仕方のないことだけれど、波に浮かぶブイのように揺れながらも、戻ってこられる「中心」を持っていることは重要ではないでしょうか。


そこで、今回は、サイコシンセシスのエッセンスに触れてみたいと思います。

同一化と脱同一化

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私たちには様々な「欲求」があり、怒りや不安、恐怖といった「感情」があり、頭の中をぐるぐる巡る「思考」があり、変化し続ける「身体」を持っている、とサイコシンセシスでは言います。

 

 

自分の中にある様々な要素を受け容れて、認めて、所有できなければ、逆に私たちはそれに振り回されます。


怒ってプリプリしているのに、「怒ってない!」と否定する方を見かけることはありませんか。

その方は、自分の怒りに同一化してしまっているために、逆に怒りを所有することができず、怒りに支配されています。


不安を消そうとして逆に不安だらけになってしまう時も、緊張を隠そうとして余計に緊張してしまう時も、


それは不安や緊張を受容して所有できていないからです。


自分が感情より大きな存在になるには、欲求よりも大きな存在になるには、それを受容して、ちゃんと所有することが第一歩です。



そしてもう一つ、アサジオリは、私たちが同一化しているもの全てにコントロールされると言いました。

自分が感情だと思い込んでいれば、不安になれば不安に支配されます。

怒れば、怒りに支配されます。

逆に、脱同一化しているものは、私たちがコントロールすることができるのです。



脱同一化とは、同一化してしまっているものから離れることです。

私たちは「欲求」でもなく、怒りや不安、恐怖といった「感情」でもなく、頭の中をぐるぐる巡る「思考」でもなく、変化し続ける「身体」でもない、のです。


それらは全て波のように生じては、消えていくものです。変化していくものです。


これらから離れることが出来たとき、初めて足場が出来ます

自分の足で立てる場所ができるのです。

そして、そこからまるで指揮者がオーケストラを指揮するように、自分を指揮していくことが出来ます。

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アメリカで最も影響力のある女性の一人にも選ばれたオプラ・ウィンフリーは、

「あなた自身の人生の運転席に座るのです。そうでなければ人生の方があなたを「運転」してしまうでしょう。」と表現しました。



自分に対する気づきはとても重要だけれど、それだけでは十分ではない、というのがサイコシンセシスの考えです。


運転手がどこへ向かうのか指揮者がどんな曲をどう演奏しようとするのかという意志を重要視します。


指揮者の位置についたら、運転席についたら、自分の存在の中心にある意志に気づき、意志の働きを強めていくこと。

 

次回は、「意志の働き」を活性化するために私たちに出来ることをもう少し紹介したいと思います。 

 

2020年05月12日 17:01

食べ過ぎのセルフコントロール

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家で過ごす時間が長くなると、ついダラダラと食べ過ぎてしまいますよね。

 

また、ストレスがたまり、食べることが気晴らしや楽しみになっている方も多いと思います。

 

もちろん、こんな状況の中では、そうした気晴らしや楽しみも大事ですが、

過食は腸内環境を荒らし免疫力の低下に繋がる可能性もありますし、

自己嫌悪を感じたり、気持ちも落ち込んでしまいます。

 

そこで今回は、食べ過ぎをなんとかしたいと思っている方のために、そのポイントを心理学の研究からご紹介します。

 

 

必要なのは「強い意志」ではない!?

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「やりたい事をやる」「やりたくない事をやらない」と言うのは、「意志の力」によるものです。

 

食べ過ぎのコントロールでは、「適度に食べる」と言う「やりたい事をやる」、「食べ過ぎてしまう」と言う「やりたくない事をやらない」ための「意志の力」が必要です。

 

でも、「意志の力」と聞くと、ただひたすら我慢する事をイメージしませんか?それは辛いですよね。

 

今回ご紹介する「意志の力」は、そうではありません。

 

私が研究しているサイコシンセシスの創設者であるロベルト・アサジオリは、

 

当時の精神医学、心理学においては全く研究対象となっていなかった「意志」の重要性にいち早く気づき研究した精神科医です。

 

アサジオリは、「意志」には「ただひたすら我慢する」ような「強い意志」だけでなく、

「巧みな意志」と言うものがあるのだと主張しました。

「強い意志」が逆流の川でも負けずに必死に船を漕ぐことだとしたら、

川の流れの方向を理解し、その力を利用して船を漕ごうとするのが「巧みな意志」です。

 

今回ご紹介する食べ過ぎないために使う「意志の力」は、現代心理学の研究成果ですが、

 

これらはアサジオリが指摘した「巧みな意志」に通じるセルフコントロールの方法です。

 

食べ過ぎてしまうのはストレスによる不快感から逃げるため

 

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さて、つい食べ過ぎてしまう時、何となく口さみしくてダラダラと食べてしまうとき、

 

本当にお腹が空いているでしょうか?

 

冒頭で、「ストレスがたまり、食べることが気晴らしや楽しみになっている」と書きましたが、

 

食べ過ぎてしまう時は、お腹が空いたから食べているのではなく、

 

ストレスの解消のために食べてしまっている事の方が多いのではないかと思います。

 

では、ストレス解消って何をしているのでしょう。

 

ストレスを感じると、不安や焦り、モヤモヤ、苛立ち、虚しさといった不愉快な感情を感じ、


それはカラダの不快感を生じさせます。

 

不愉快な感情から逃げるのは逆効果

ストレスを感じた時の、不愉快な感情、カラダの不快感は耐え難いものですよね。

 

けれど、実は多くの人はそれをじっくり感じたことは無いのではないかと思います。

 

不愉快であったり、不快であるために、つい気を紛らわそうとしたり、

 

忘れるためにあれこれしてみたりしてはいませんか?

 

その一つが、食べることではないかと思います。


私たちは、食べることでそれを和らげ、飲み込んでいるのです。


つまりストレスによる食べ過ぎとは、この不快感から逃れるためのものなのです。

 

ところが、心理学の研究が教えてくれるのは、

 

「不愉快な感情から逃げるのは逆効果」ということです。

これが続くと、ストレス→不快感→食べる→不快感が解消されるという一連の負のパターンが出来てしまい、

ストレスを感じるたびに食べたくなってしまいます。

 

受け入れて寄り添う

抱える①

気を紛らわしたり、感じないフリをするのではなく、

 

「受け入れて寄り添うこと」にすごいパワーがあるのです。

 

では、具体的にはどうするかというと、

 

まず、自分が感じていること、考えていることを意識化します。

 

もし、「もうちょっと何か食べたいな」と感じているとしたら、

 

それがどんな感覚なのか、カラダの何処にあるのか意識するのです。

 

あるいは、イライラしていたり、不安な気持ちがあるのであれば、

 

今自分は、どんな風にそれを感じているのかを探ってみます

 

さて、この次が重要です。深呼吸をします。

 

不快感や不愉快な感情を感じているところに、息を吹き込むように

 

深呼吸を何度か繰り返しましょう。

 

自分の感情やカラダの感覚に気付きながら呼吸をして、

 

さらに意識を広げて自分が本当にやりたいことを意識します。

 

もしキープしたい体重があれば、それを思い出しても良いし、

 

「適度に食べて胃腸の状態を整えて健康を保つ」でも、

 

「過食しない事で生活習慣病を防いで元気に動ける時間を出来るだけ伸ばす」でも、自分の目標を思い出します。

 

 

衝動の波のやり過ごし方を習得する

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さて、もう一つストレス→不快感→食べるという一連の負のパターンを断ち切る、

 

重要なポイントがあります。

 

それは、「衝動をやり過ごす方法」を身につけることです。

 

食べ過ぎてしまうのは、もちろん不快な感情から逃れたい気持ちもありますが、

 

甘いものや中毒性のあるスナックなどを食べる事で脳が得る、

 

目の前の「快」の感覚を求める衝動もありますよね。

 

食べ過ぎを防ぐために重要なのは、この「衝動」はいずれ消えることを理解することです。

 

食べたい衝動とは少し違いますが、例えばカァーッと頭に血がのぼるような

 

「衝動的な怒り」は、どのくらい続くと思いますか?

 

たったの6秒です。

 

このカァーッと頭に血がのぼるのはカラダ中をアドレナリンが駆け巡るからですが、

 

このアドレナリンがカラダから抜けるまでの時間が6秒です。

 

つまり、1、2、3、4、5、6とカウントダウンしながら待てば、

 

衝動的な怒りの波は落ち着いていきます。

 

同様に、「食べたい」という衝動も、少し待てば消えていくのです。

 

そしてもう一つ心に留めておいて欲しいのは、

あなたは「欲求」でも「感情」でもない」、ということと、

 

すべての「欲求」や「感情」に対応しなくても良い、ということです。

 

それらは、波のようにあなたのところにやってきては消えていくということを意識してみてください。

 

では、具体的に衝動のやり過ごし方を見てみます。

 

まず、最初のところで見たように、食べたいという衝動の波に襲われた時の身体的な感覚、その不快感に意識を向けます

 

そして、その不快感を受け入れ、寄り添います

 

ゆっくり呼吸をしながら、「この感覚を受け入れることができるし、辛抱すれば消えていく」「波のようにピークを超えれば必ず落ちついていく」と意識します。

 

こうして「衝動をやり過ごす」ことを繰り返していくうちに、

 

ストレスを感じるから食べ過ぎてしまう、という連鎖は断ち切ることができるのです。


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最後になりますが、それでも食べてしまうことはあると思います。人間ですから

 

その時には、反省したり罪悪感を感じる必要はまったくありません

反省したり、自分を罰することで意志を強くできると考えてしまう方もいるかも知れませんが、

実はこれもまったく逆効果です。

 

意外かもしれませんが、「意志の力」は罪悪感を感じるほど、自分を責めるほどに弱まってしまうのです。

 

もしそうした自責の気持ちや、罪悪感、自己嫌悪が出てきたら、

 

そうした気持ちにも気づいて、受け入れて寄り添ってあげてください。

 

食べてしまったら、自分を責める代わりに、

 

「そんな時もあるよね」と自分に共感し、

 

「次、また試してみよう」励ましてあげてみてください。

 

 

 

 

2020年05月08日 17:27

「失意」という精神的ダメージから身を守る②

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前回のブログでは、フランクルから絶望的な状況を生き延びる力を学びましたが、

 

フランクルと同様、安全も未来も保障されていない過酷な状況から生還し、

 

失意の危険性を説いた、もう一人のサバイバーをご紹介します。


それは、アメリカ軍将校のジェームス・ストックデールです。
 

フランクルが収容所から解放されて20年後、

 

1965年ベトナム戦争で戦っていたストックデールは捕虜となり捕虜収容所に入れられました。

 

ストックデールは、足に鉄の鎖をつけられ、日常的な暴行を受け

20回以上にわたると言われる拷問が行われた

いつ釈放されるかも分からない7年半もの捕虜生活を生き延びた人です。

 

拷問を耐え抜いたストックデールの逆説

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そのストックデールに、ジェームズ(またはジム)・コリンズが取材をし、

 

その捕虜生活を生き延びることができた原動力について問いました。

 

ストックデールは、こう言います。
 

”I never lost faith in the end of the story, I never doubted not only that I would get out, but also that I would prevail in the end and turn the experience into the defining event of my life, which, in retrospect, I would not trade.”

 

「わたしは結末について確信を失うことはなかったここから出られるだけでなく、最後にはかならず勝利を収めてこの経験を人生の決定的な出来事にし、あれほど貴重な体験はなかったと言えるようにするということを、決して疑うことは無かった」

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つまり、「最後には必ず外に出て勝利をおさめる」という強い信念が彼を支えたのだと言います。
 

盲目的な楽観主義は危険


一方で、生き延びることが出来なかったのはどんな人かというコリンズの質問に対して、

ストックデールはこう答えます。
 

”Oh, that’s easy, the optimists. Oh, they were the ones who said, 'We're going to be out by Christmas.' And Christmas would come, and Christmas would go. Then they'd say, 'We're going to be out by Easter.' And Easter would come, and Easter would go. And then Thanksgiving, and then it would be Christmas again. And they died of a broken heart.”
 

「それは簡単だ、楽観主義者だ。そう、クリスマスまでには出られるさ、と言っていた人たちだ。クリスマスが近づき、終わる。そうすると、彼らは復活祭までには出られると考える。そして復活祭が近づき、終わる。つぎは感謝祭、そしてつぎはまたクリスマス。そうして彼らは失意のために死んでいった


以前にペパー先生のブログから紹介したように、免疫力を上げるのには楽天的でいることは確かに重要です。

けれど、危機的状況では、あと1ヶ月くらいでどうにかなる、といった非現実的で盲目的な楽観主義は失意という大きな精神的ダメージに繋がってしまいます。


ストックデールは言います。
 

This is a very important lesson. You must never confuse faith that you will prevail in the end—which you can never afford to lose—with the discipline to confront the most brutal facts of your current reality, whatever they might be.


「これはきわめて重要な教訓だ。最後にはかならず勝つという確信、これを失ってはいけない。だがこの確信と、それがどんなものであれ、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視する規律とを混同してはいけない」


これが「ストックデールの逆説」です。


つまり、最も厳しい事実や現実を直視しながらも、「最後には絶対に大丈夫」という確信を失わないこと。


普通は、厳しい現実を直視すると悲観的になり、心が折れてしまいがちですよね。

だからこそ、逆説なのです。

目の前にあるもっとも厳しい事実を直視するとは、今の私たちにとっては、

コロナの感染力や、感染した場合に起こりうる最悪の事態、今体験している様々な制限や不自由がまだまだ続く可能性あることなどを、きちんと直視することではないかと思います。


では、その中で「最後には絶対に勝つ」という信念を持ち続けるには、どうしたら良いのでしょう。


ストックデールは、”Faith”(確信あるいは信念)"DIscipline"(規律、統制、自制心)の両方の重要性を説きました。

これこそが危機を乗り切る最大の秘訣かも知れません。


自分がやる必要があることに意識を集中して、それをやり続けるという規律。

そこから生まれる「大丈夫」という自信と、「絶対に乗り切れる」という確信。

その両輪があって、前に進んでいけるのではないかと思います。

 

自分にできること・やる必要があることをやり続ける規律


自分に出来ることは、人それぞれだと思います。

働くために外に出なければならない人は、ソーシャルディスタンスを気を抜かずに行うこと、手洗いやこまめな水分補給、そして免疫力をあげることに集中すること。

また在宅勤務の方や、自粛で家にこもれる方は、生活リズムが乱れて体調を崩さないように気をつけること。

また、もう既に様々な事情で精神的・身体的な不調や苦しさを抱えている方にとっては、布団から出ることは辛いことかも知れません。カーテンを開けることは、しんどいことかも知れません。

そんな時には、自分に優しくしてあげてください。

頭の中にある自分を責める声、出来ていないことを並べ立てる声に耳を貸さずに、あなたがもう既に出来ている事を、それがどんなに些細なことでも労ってあげてください。

私たちは、それぞれ、もう既に充分、頑張っていると思います。

ですから、もう既にやっている事、出来ている事に目を向けましょう。

それが小さな事でも、やっている自分を労いましょう。

そうして「終わりは必ず来る」という確信を持って乗り切りましょう。


 

2020年04月30日 10:00

「失意」という精神的ダメージから身を守る①

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緊急事態宣言が出され、政府はその期限を5月6日としました。

 

心のどこかでは、そんなに早く収束するはずがないと思いながらも、5月6日を心待ちにしている方もいるかも知れません。

 

また、緊急事態宣言が解除されたら、元どおりの日常が送れると期待している方も多いのではないかと思います。

 

けれど、この「◯日までの辛抱だ」「夏になったら解放され元どおりになる」

 

と言った希望の持ち方は、時に私たちに大きな精神的ダメージを与えると唱える人たちがいました。

 

それは、強制収容所での過酷な状況や、何年も続く捕虜生活と拷問を生き延びた人たちです。

 

各国のトップは口々に、コロナウイルスとの戦いは戦争であると表現しましたが、

 

もしそうなのであれば、戦争という過酷な状況を生き抜いた人々の体験から、

今の私たちは何か学べることがあるのではないかと思います。

 

強制収容所を生き抜いたフランクル

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ヴィクトール・エミール・フランクル
という人をご存知でしょうか。

 

彼は、オーストリアの精神科医であり、ユダヤ人です。

 

そして、それ故に、第二次世界大戦の際にナチスドイツによって

 

アウシュビッツ強制収容所に送られてしまいます。

 

もちろん、フランクル一人でなく、彼の両親も、兄も、結婚したばかりの妻も、ユダヤ人として強制収容所に送られ、殺されてしまいます。

 

フランクル自身も、収容所の中で過酷な労働、寒さ、飢え、暴力に苦しみといういつ終わるか分からない収容所の生活を送りながらも、その状況を耐え抜いて生還しました。

 

そして、その時の体験を克明に記録した、ベストセラーとなる「夜と霧」を執筆したのです。

 

家も、家族も、食べるものも、お金も、自由も、すべて奪われてしまった時

 

人は、こんな人生に何の意味があるのだ絶望します。

 

いったい、この人生に、生きる意味などあるのか、と。

 

強制収容所は、こうした全てを奪われた人々の集まりでした。

 

そんな中で、フランクルは囚人たちが何に絶望し、

 

どんなことに希望を見出したのかを精神科医の視点からつぶさに観察しました。

 

そして彼が発見したのは、絶望の中での生き延びる力です。
 

人生に期待するのをやめ、生きる目的を持つ

「クリスマスには収容所から解放される」という噂が広まったのち、

 

その通りのことが起きなかったとき、人々は失望し、自暴自棄になり、力尽きてしまいました。

 

また、夢の中で「5月30日に戦争が終結する」という予言のような声を聞き、それを信じたその人は、

 

何の状況変化も起こらなかった5月29日に高熱を出し、31日には亡くなってしました。

 

フランクルは、「人生に期待するのをやめよ」と言います。

 

人生に何かを期待し、そこに生きる力を託してしまう時、

 

それが現実のものとならなかった時、人は失意のうちに生きる力も無くしてしまいます。

 

そんな状況を生き延びる唯一の道は、「生きる目的」を持つことだとフランクルは悟ります。

 

「生きる目的」を持つためのコペルニクス的転換とは

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そして、そのためには「コペルニクス的転換」が必要だと言います。

 

つまり「人生の意味を問う」ことから、「人生から投げかけられている問いに応える」ことへの転換です。

 

 

「もういいかげん、生きることの意味を問うことをやめ、


わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。


生きることは日々、そして時々刻々、問いかけてくる。


わたしたちはその問いに答えを迫られている。


考え込んだり言辞を弄することによってではなく、


ひとえに行動によって、適切な態度によって、正しい答えは出される。」

 

さらに、フランクルは言います。

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「どんな時にも人生には意味がある。

 

未来で待っている人や何かがあり、そのために今すべきことが必ずある」

 

そうして、未来に向けた「生きる目的」だけでなく、

 

極限状態においても人間性を保つことの重要性についても指摘します。

 

囚人たちの中には、そんな過酷な状況にあっても、音楽を楽しみ、夕焼けを見て心を震わす者たちもいたと言います。

 

一瞬、一瞬を大切にして、美や創造の喜びを感じることが、

 

どんな状況にあっても生きがいを見いだす力になるのだと。

 

2020年04月28日 10:13

コロナ自粛による生活リズムの乱れをリセット

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長引く自粛生活と慣れない在宅勤務で、生活リズムが乱れてしまっている方も多いのではないかと思います。

 

また、緊張と不安が続く毎日で、夜に寝つきが悪くなったり、朝なかなか起きられず、中には、昼夜逆転してしまっている方もいらっしゃるかも知れません。

 

こうした、生活リズムの乱れ、不安や緊張の高まり、睡眠サイクルの乱れは、自律神経の乱れに繋がることがあります。

 

もし、なんとなく身体が重い、だるい、頭が重くてスッキリしない、気持ちが落ち込むといった体験をされいる方がいたら、それは、こうした生活リズムの乱れによる「自律神経の乱れ」が原因となっているかも知れません。

 

「コロナ鬱」という言葉も聞こえてくるようになりましたが、自律神経の乱れが続くと、抑うつ状態になるリスクも増えます。それは、免疫低下にも繋がりかねません。

 

(もちろん、数日から数週間、生活リズムが乱れたからといって、すぐに病気になるわけではなく、その状態が1ヶ月、2ヶ月と続いてしまうことが問題なので過度に不安になる必要はありません。)

 

そこで、ここで視点を切り替えて、「どうしたらそれを防げるか」「体調を整えて毎日を元気に過ごすにはどうしたら良いか」に焦点を当てましょう。

メリハリ(活動とリラックス)が大事


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私たちが普段、意識しなくても呼吸したり、心臓が動いたり、食べたものを消化したり、汗をかいて体温調節が出来ているのは、すべて自律神経のおかげです。

 

私たちの身体にはたくさんの神経がありますが、その中でも内臓の働きを調整して、体温、血圧、心拍、呼吸、発汗、胃腸の運動などをコントロールしてくれているのが自律神経です。

 

そしてこの自律神経は、昼間の活動している時に優位になる「交感神経」と、夜にリラックスしている時に活発になる「副交感神経」の2つが、バランスよく働いてくれることで、心と体の調子が整うのです。

 

つまり、自律神経を整えて、頭がスッキリ、体も軽く、気分良く過ごすには、この「活動・適度な緊張」と「休息・リラックス」のメリハリを作ることが重要です。

 

出来るだけ昼間は身体や頭を動かして活動し、夕方以降はリラックスしてのんびり過ごす、というサイクルができると自律神経は整いやすくなります。

 

体内時計は24時間じゃない

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さて、この自律神経にはリズムがあります。先ほど、昼間は交感神経が活発になって、夜は副交感神経が優位になると言いましたが、これは1日を通した大きなリズムです。

 

このような一定の時間帯に上がったり下がったりするような約1日の周期があるリズムのことを、サーカディアンリズムと言います。

 

サーカディアンリズムの代表が、睡眠と覚醒のリズムです。

 

そして、このサーカディアンリズムは体内時計によって調整されていますが、ここに大きな問題があります。

 

地球の周期が1日24時間なのに対して、なんと体内時計の周期は1日は24時間から25時間です。

 

つまり、本来、人間の体内時計と、外の環境にはズレがあるのです。

 

そのため、放っておくと、私たちが自然と眠くなる時間は、毎日少しずつ遅れて行ってしまうことになります。

 

コロナ自粛で家にずっといると、起床時間と就寝時間が、だんだん後ろにずれていってしまうのは、そのためです。

 

朝の太陽光を浴びて体内時計をリセット

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では、サーカディアンリズムを整えて健康を保ってくれる体内時計、どうやったらリセットできるのでしょう。

 

それは、午前中にしっかりと朝の強い光を目に入れること。

 

(とはいえ、直接太陽を見ないでください)

 

そのメカニズムは、こうです。

 

目から入った光は、網膜を通して視床下部にある視交叉上核に伝わります。

 

ここが体内時計をリセットしてくれる場所です。

 

こうして伝わった光の信号は松果体(しょうかたい)に伝わり、


その1416時間後に再びメラトニンという睡眠ホルモンが分泌されることで


眠気が生じるというのが、一連の仕組みになっています。

 

食事や運動もバイオリズムを整えてくれる

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午前中の強い光だけでなく、食事や運動なども体内時計をリセットする刺激となると考えられています。

 

まずは食事。皆さまそれぞれ状況があると思いますが、やはりいつも同じ時間に朝ご飯、お昼、夕飯を食べるということがリズムを整えてくれます。

 

それを一つの区切りとして、一日のルーティンを作ってみてはいかがでしょうか。

 

軽い散歩などの運動は、午前中にすることで太陽光を浴びることにもなるので良いと思いますし、

 

断捨離や家の片付け、掃除などの体を動かす家事も午前中にやると良いと思います。

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夜は出来るだけのんびり、ゆったり、リラックスして過ごせるように、

 

お仕事をされている方は、夕食前までの時間に集中して終わらせるようにするなど、

 

時間の区切りを意識して、ご自分にあった生活リズムを作ってみてください。


こんな大変な時だからこそ、それを乗り越えていくための大事な基礎として、


まずは体内時計を毎日リセットし、自律神経のリズムを整え、体調が整うことで、


ココロとカラダの体力を保っていきましょう。

 

2020年04月24日 17:36

自宅でのテクノストレスを減らす

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Posted: March 19, 2020 | Author: erikpeper |

Adapted from the upcoming book, Peper, E., Harvey, R., & Faass, (in press). Tech Stress: How Technology Is Hijacking Our Lives, Strategies for Coping, and Pragmatic Ergonomics. Berkeley: North Atlantic Books.

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コロナウイルスの影響で、テレワーク、在宅勤務をする方が増えています。

普段とは違う、慣れない環境で仕事をこなしていくことに、大きなストレスを抱えている方も多いのではないでしょうか。

また家でのお仕事だけでなく、自宅でテレビやパソコンを眺めて過ごす時間が増えている方も多いかと思います。

そんな在宅勤務、自粛による在宅時間の長時間化でのストレスによる、心身の疲労を少しでも減らすために、

今回も米国サンフランシスコ州立大学健康教育学部教授のエリック・ペパー先生のブログを共有させて頂きます。

長丁場になりそうなコロナウイルスとの格闘、皆さまの毎日が少しでもストレスの少ないものになりますように、、、

英語でのオリジナルは、こちらをご覧ください。

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自宅でコンピューターの作業をすることは、オフィスで作業するよりも疲れるということを、多くの人々が報告しています。 在宅勤務には明らかな利点がありますが、不利な点もあります。
 

(たとえば、仕事をするスペースがない、努力を要する人間工学的状態、家族から避難できない、(オフィスでは)コミュニケーションに使われていた非言語での指示の欠如、 (オフィスでは)冷水機近くで交わされていたフレンドリーな会話などの共有の不足、子どもの世話をしつつ仕事することでのマルチタスクの増加など)
 

主な課題は、自宅に快適な作業スペースを確保することです。これは、コンピューター、キーボード、スクリーンを置く場所を見つけることを意味するかもしれません。

それがキッチンテーブル、寝室の隅にあるデスク、またはコーヒーテーブルの上になることもあれば、完全に独立した部屋になることもあるでしょう。
 

人間工学的に不適切な配置とストレスの多い作業スタイルは、首、肩の不快感を増加させ、目の疲れや疲労を悪化させます。

デジタル作業スペースがどのような場所で作られているかに関係なく、あなたの健康を促進するために、次の生活習慣とワークスタイルの提案人間工学に基づくアドバイスを取り入れてみてください。

 

生活習慣とワークスタイルの提案
 

◆ 休憩を何度も、何度も、何度もとる  

動きのある休憩を取ることは、固定された位置で座ってコンピューターで作業していると蓄積されていく、隠れた静止状態の緊張を減らすことができます。


・数分おきにちょっとした休憩をとりましょう。例えば、立ち上がって肩をグルグルと動かし、大きく回します。動くときには、スクリーンを見ることをやめて、部屋の中を見まわしたり、窓の外を見ましょう。

・30分ごとに立ち上がって歩き回り、体を動かします。タイマーを使って30分ごとに通知するようにして、休憩を取ります。(例えば、携帯電話のアラーム、Hey Google、Siri、Alexaなどのパーソナルデジタルアシスタントを使います)

 

◆ 視覚の改善

  • 目の休憩を取り、目の疲労を減らす
    ・数分ごとにスクリーンから目を離して、遠くを見てまばたきします。 可能であれば、外の緑の植物を眺めます。近くを見ていたことによる緊張を和らげてくれます。

    ・まばたきを何度もしましょう。コンピューターで作業するとき、まばたきの回数が減ります。ですから、新しいリンクをクリックするたびに、数字の列の入力を終了するとき、などなど、まばたきをしましょう。

    ・アゴをリラックスさせて、まぶたを落として目を閉じます。 あなたの頭上にフックがあって、それが頭を上に引っ張っているのをイメージしながら、同時に肩を下に落としましょう。

 

  • 背景のギラつきと明るさを減らす

    ・コンピュータのスクリーンを、部屋の最も明るい光源に対して90度に配置します。

    ・ビデオ会議に参加するとき、自分の後ろの背景を暗めにしましょう。 (例えば、 Zoom, Skype, GoToMeeting, WhatsApp, FaceTimeなど). あなたの顔が見やすくなります。

 

◆ 回復する


・ストレスがたまったら、呼吸をすることを忘れないでください。息を吸うときにはお腹をふくらませ、吐くときにはお腹からゆっくりと空気を出していきます。

・否定的なニュースを見たり聞いたりするのをやめましょう(ニュースは1日に1回だけチェックしてください)。

・ポジティブで面白い映画を観ましょう。

・新鮮な空気を吸いましょう。散歩に出かけ、太陽の下で過ごしましょう。

・友達と再びつながり、ポジティブな体験を共有しましょう。(オンラインで)

・これもまた過ぎ去っていく、ということを自分に言い聞かせましょう。

 

人間工学に基づくアドバイス世界をあなたのものに


優れた人間工学とは、機器や環境をあなたに合わせることであり、その逆ではありません。図1に示すように、椅子、机、キーボード、マウス、カメラ、スクリーン、および自分の配置を最適なものにしましょう。


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図 1. コンピューターで仕事をする際に推奨される配置


◆ ラップトップを配置する
 

ラップトップには、課題があります。キーボードでデータを入力するために手が適切な高さにある場合、画面を見るためには下を見なければなりません。スクリーンが適切な高さにある場合は、キーボードに届くために手を上げなければならないのです。この課題には2つの解決策があります。


1. 外付けのキーボードとマウスを使用してスクリーンの上部が目の高さになるようにラップトップを持ち上げます。ラップトップスタンドを使うか、または本を積み上げてラップトップを持ち上げます。

2. ディスプレイに外付けモニターを使用し、ラップトップをキーボードとして使用します。


これらの解決策が不可能な場合は、首や肩のストレスを減らすために、何度も何度も休憩を取ってください。


◆ コンピューターの作業場を配置する


1. 椅子を調整して、肩を上げずに前腕がテーブルに乗る高さに調整します。これは(椅子の上にクッションをのせて)そのクッションに座ることを意味するかもしれません。もし椅子が高すぎて足がぶら下がっている場合は、足を置くことができるフットスツールを用意しましょう。

2. スクリーン上部が目の高さになるようにモニターを調整します。モニターが低すぎる場合は、その下に何冊かの本を置いて持ち上げます。

3. 可能であれば、作業中は立ったり座ったりを交互にします。

 

 

RESOURCES

Ergonomic suggestions for working at the computer and laptop.

https://peperperspective.com/2014/09/30/cartoon-ergonomics-for-working-at-the-computer-and-laptop/

https://peperperspective.com/2014/02/24/optimizing-ergonomics-adapt-the-world-to-you-and-not-the-other-way-around/

11 tips for working at home

https://www.bakkerelkhuizen.com/knowledge-center/11-productivity-tips-for-homeworkers/?utm_campaign=US+-+19+03+20&utm_source=Newsletter&utm_medium=email

How our digital world activates evolutionary response patterns.

https://peperperspective.com/2020/01/17/evolutionary-traps-how-screens-digital-notifications-and-gaming-software-exploits-fundamental-survival-mechanisms/

https://peperperspective.com/2018/02/10/digital-addiction/

How posture affects health

https://peperperspective.com/2019/07/01/dont-slouch-improves-health-with-posture-feedback/

https://peperperspective.com/2019/05/21/relieve-and-prevent-neck-stiffness-and-pain/

https://peperperspective.com/2017/11/28/posture-and-mood-implications-and-applications-to-health-and-therapy/

https://peperperspective.com/2019/01/23/head-position-it-matters/

2020年04月17日 19:23

呼吸パターンを変えることで、コロナウイルスへの曝露を減らせるか?

sneeze

the peper perspective

Posted: April 1, 2020 | Author: erikpeper  Erik Peper

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こちらもコロナウイルスについての、米国サンフランシスコ州立大学健康教育学部教授のエリック・ペパー先生のブログです。先生に前回のブログを日本語に訳して皆さまと共有したいとお願いした際に、今回のものともう一つ(次回アップします)についても紹介することを勧めて頂きました。

英語でのオリジナルは、こちらをご覧ください。

皆さまのコロナ対策の一助となれば幸いです。

*これらは現時点(2020年4月1日)でのコロナウイルスについての情報ですので、今後変わっていく可能性はあるかと思いますので、その点はご留意ください。

*またこの日本語訳は感染症の専門家でも医師でもない私が翻訳したものですので、もし間違いがあった場合にはお知らせ頂けますと幸いです。

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このブログは、1990年代に始まった呼吸に関する研究に基づいています。この研究は、病気の原因となる機能不全の呼吸の特定に役立ちました。

呼吸のパターンを最適なものにし、健康を増進し、パフォーマンスを改善するために、バイオフィードバックを用いたコーチング/教育戦略を開発しました (Peper and Tibbetts, 1994Peper, Martinez Aranda and Moss, 2015Peper, Mason, and Huey, 2017).
 

たとえば、喘息がある人々には、タバコの煙や他の空気中の刺激物に対する反応性を低下させるように指導しました (Peper and Tibbitts, 1992Peper and Tibbetts, 2003). 

人が息を吐くと、たばこや電子タバコの煙は広がります。もしその人が感染していると、この煙は、図1に示すように他の人々が吸い込むことになるウイルスの霧を表しています。


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図1. ラトビアのリガで電子タバコを吸う若者 (写真 Erik Peper).


呼吸の仕方を変えるために、参加者はまず自然なゆっくりとした横隔膜呼吸を学びました。 次に、タバコの煙などの空気中の刺激物に気づいた瞬間に、息を止めて体をリラックスさせ、非常にゆっくりと鼻から息を吐きながら、空気の汚染源から離れていくように教えました。空気が澄んだら、横隔膜呼吸で自然な呼吸をつづけました。(Peper and Tibbetts, 1994). 

この研究から、私たちは呼吸パターンを変えることによってコロナウイルスへの曝露を減らすことができるかも知れないと提案しています。しかし、最初のステップは、推奨される公衆衛生ガイドラインに従うことによる予防です。

  • ・社会的距離をとる(社会的サポートの提供を続けつつ身体的な距離を取る
    ・少なくとも20秒間、石鹸で手を洗う
    ・手で顔を触らない
    ・ドアの呼び鈴、ドアノブ、容器など、他者が触れた可能性のあるモノの表面のクリーニング
    ・マスクと手袋を着用して、他の人へのウイルス拡散を減らす。マスクはコロナウイルスに感染した人あるいは、無症状の保菌者によるウイルスの拡散を予防します。

 

呼吸パターンを変えることで、他の人が近くにいるときのウイルスへの曝露を減らす 
 

通常、私たちがビックリしたり驚いたりすると、すぐにハッと息を呑み、空気を急いで吸い込む傾向があります。

誰かが近くでくしゃみをしたり、咳をしたり、息を吐いたりすると、私たちはわずかに息をのみ、その飛沫を吸い込んでしまうことがよくあります。

飛沫(コロナウイルスを含む可能性があります)の吸い込みを減らすには、次のことを実施します。

  • 人が近づきすぎたとき
    ・口を閉じて、肩をリラックスさせて息を止め(息を止めるだけです)、その人から遠ざかります。
    ・鼻から静かに息を吐きます(息を吐く前に吸い込まないでください)ー吐ける息がどれほど少なくても多くても、吐くだけです。
    ・十分離れたら、鼻から静かに息を吸います。
    ・息を止めるときは、リラックスして、肩が下に落ちていると感じることを忘れないでください。息を止めるのは、人から離れるとき、ほんの数秒間だけです。 息を吸い込む前に、鼻から息を吐きます。
     
  • 人が咳やくしゃみをしたとき
    ・息を止めてその人から離れるように頭を回転させ、鼻から息を吐きながらその人から離れます。
    ・くしゃみや咳の飛沫が、あなたやあなたの服に着いたと思われる場合は、家に帰り、家の外で衣服を脱ぎ、服を洗濯機に入れてください。 シャワーを浴びて、石鹸で体を洗います。
     
  • あなたの前にいる人やあなたに近づいてくる人を通り過ぎるとき
    ・彼らに近づき過ぎる前に息を吸い込み、彼らと通り過ぎるとき鼻から息を吐きます。
    ・6フィート(約1.8m)以上離れたら、鼻からゆっくりと息を吸います。
     
  • 外で人と話すとき
    ・風が同じ側から両方の人に当たるように立って、吐き出された飛沫が両方から吹き飛ばされるようにします(風下)。

 

これらの呼吸スキルは、一見とてもシンプルに見えます。しかし、喘息やその他の症状を持つ人々との私たちの臨床経験では、その人の自動的な呼吸パターンを変えるには練習、練習、また練習が必要でした。

新しいパターンは、呼吸をいったん止めて(止めて)から、鼻から息を吐き出すというものです。この呼吸パターンは強制されたものではないということと、練習によって楽に出来るようになるということを忘れないでください。

 

参考文献

Peper, E., Martinez Aranda, P., & Moss, E. (2015). Vulvodynia treated successfully with breathing biofeedback and integrated stress reduction: A case report. Biofeedback. 43(2), 103-109.

Peper, E., Mason, L., Huey, C. (2017).  Healing irritable bowel syndrome with diaphragmatic breathing. Biofeedback. (45-4)/

Peper, E., and Tibbetts, V. (1992).  Fifteen-Month follow up with asthmatics utilizing EMG/Incentive inspirometer feedback. Bio­feedback and Self-Regulation. 17 (2), 143-151. 

Peper, E. & Tibbetts, V. (1994). Effortless diaphragmatic breathing. Physical Therapy Products. 6(2), 67-71.  Also in:  Electromyography:  Applications in Physical Therapy. Montreal: Thought Technology Ltd. 

Peper, E.  and Tibbitts, V.  (2003). Protocol for the treatment of asthma.  In:  Zheng, Y. (ed).  Clinical Practice of Biofeedback. Beijing:  High Education Press (HEP). 163-176. ISBN 7-04-011420-8

2020年04月15日 06:45

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