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マズローの欲求の階層説

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心理学の発展について、またマズローの欲求階層説についてアップしましたので、コチラでもご紹介します。

心理学の大きな流れ・4大勢力についてはコチラ→心理学の大きな流れ・4大勢力


アメリカの心理学者、アブラハム・マズロー(1908—1970)は、プロフェッショナル人生をかけて「人生の意味」について探求した心理学者です。

 

そして、人間が持つ「成長したいという欲求」を明らかにして、心理学の第3の勢力である人間性心理学を牽引しました。

 

 

そんなマズローが、1943年彼が35歳の時に”A Theory of  Human Motivation”(人間の動機づけに関する理論)を発表し、欲求の段階説を提唱しました。

 

この理論で、マズローは人間の行動のモチベーションの基礎を作る、5つの核となる欲求を指摘します。

 

 

① 生理的欲求 →  食べたい、飲みたい、眠りたい 

② 安全の欲求 自分の身の安全を確保したい

③ 愛と所属の欲求 集団に属したい/愛されたい

④ 承認欲求 自分の価値を認められたい

⑤ 自己実現欲求 自分の持っている可能性を発揮したい

 

 

マズローは「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、この5つの欲求は、1番から順に現れて、その欲求が完全にではなくてもある程度満たされることで、次の欲求が現れると考えました。

 

つまり、食べるものや水が無い状態、眠れないような状態では、それを手に入れることが第一優先となり、「周囲の人から認められたい」といった承認欲求は出てこないということになります。

 

(ただ、晩年のマズローはこの階層的に欲求が現れるということを否定したという説もありますし、近年ではこれらの基礎的な欲求についての見直しも行われています)

 

 

そしてこの5つの欲求のうち、5番目の自己実現欲求を「成長欲求(growth need)」と呼び、それ以外の1から4までの欲求と分けました。

 

1から4までの欲求は、「欠乏欲求(deficiency needs)」と呼び、それが満たされない時、足りないと感じる時には、不満感、苦しみ、不足感を感じるものです。

 

例えば、病気、飢餓感、孤独、自己不信といったものは、この欠乏欲求が満たされないことによる副産物です。

 

一方で、成長欲求はあなたを幸せにしてくれるものですが、それが満たされないからといって苦しみは生み出しません。こうして、マズローはこの1から4までの基盤となる欠乏欲求が満たされた時に、自己実現欲求が優先されると言います。

 

 

ですからマズローの説によると、「自己実現欲求」を満たして幸せになるには、まずは1から4までの欲求をちゃんと認めて、それを満たすことが優先だと言うことになります。

 

 

ただ面白いことに、一度4番目までの基盤となる欠乏欲求をきちんと満たした経験があると、この欠乏欲求が満たされないことに対して耐性ができるといいます。そのため、この4つが満たされないような状況でも、自己実現のために活動することができるようになるのです。

マズローは、上位の欲求は下位欲求が満たされることで出現すると考えましたが、実際にはそうした順番通りに行かないことを経験されている方も多いのではないでしょうか。


例えば、愛と所属の欲求は満たされているのに、仕事が安定しないことによって、あるいは健康を害してしまったことで安全欲求が満たされないこともあります。


あるいは、周囲の人と本当に深い信頼関係で繋がったり、受け入れられている感覚を感じられないまま、つまり愛と所属の欲求が満たされないままに、それを埋め合わせるように、承認欲求を満たそうとしたり、自己実現に走ってしまうこともあるでしょう。



もちろん、だからと言ってそれが悪いわけではありませんが、自分が本当に満たそうとしている欲求は何なのか、穴が空いてしまっている欲求は何なのかを、マズローの欲求から振り返ってみることは大事かも知れません。


これらの欲求は、全て満たされている人が価値があるとか、人間として上だというようなものではもちろんありません。全ての欲求を満たすことが出来ないような状況に置かれていることもあると思います。


ただ、やはりこれらの欲求は、無視したり、軽視するのではなく、認めて、引き出して、満たしてあげることによって、より健康に、そして幸せな気持ちを感じられることには違いありません。


また、これらは人と比べるようなものではありません。例えば、自分の置かれた状況のなかで「安全」だと感じられるために今の自分に出来る小さな事をしてみる​​​、人との繋がりを感じるために今、自分の周囲にいる人を大事にしてみたり心を開いてみる、承認欲求を満たすために、小さなチャレンジをしてみる。

今の自分にとって可能な事を少しずつ、を積み重ねていく事で、そうした欲求を自分なりに満たして行ってあげることは出来るのではないかと思いますし、その姿勢が重要ではないかと思います。

 

では、自己実現欲求が満たされるとどうなるのでしょうか?そこで終わりでしょうか?

 

実は、マズローは晩年に、5番目の「自己実現の欲求」の後に⑥「自己超越の欲求」と言うものを付け足しました。

 

本来マズローは5番目の「自己実現」の中に「至高体験(Peak experience)」という概念を含めていました。

 

至高体験とは、日常的な意識とは異なる変性意識状態であり、マズローは”至福と達成感の瞬間”(moments of highest happiness and fulfillment)と表現しました。

 

また、それは"稀で、刺激的で、大洋のようで、深く感動的で、爽快で、高揚感のある体験で、現実を知覚するための高度な様式を生み出し、実験者に与える影響は神秘的で魔法のようなものでさえある" (”rare, exciting, oceanic, deeply moving, exhilarating, elevating experiences that generate an advanced form of perceiving reality, and are even mystic and magical in their effect upon the experimenter.”)と言っています。

 

そこに暗示されているのは、この至高体験が小さな自分というものが溶解していくような、自己超越的なものであるということです。

つまりマズローは最初から自己実現の中にこうした自己超越的な体験を含めていたのですが、自己実現欲求が様々な人や領域で注目されるにつれて次第に単純化されていってしまったという背景があるのです。

 

自己超越の重要性についてマズローは、こんな風に言います。

“超越とは、手段というよりも目的として、自分自身、重要な他者、人間一般、他の種族、自然、コスモス(宇宙)に対して、行動し関わる、非常に高く最も全体的な、あるいはホリスティック(包括的)な人間の意識のレベルを指します。” 
 

“Transcendence refers to the very highest and most inclusive or holistic levels of human consciousness, behaving and relating, as ends rather than means, to oneself, to significant others, to human beings in general, to other species, to nature, and to the cosmos” .

 

 

「自己超越欲求」については、後ほど、各欲求を一つずつ見ていくときにまた詳しく紹介します。

 

それでは、ここからは、それぞれの欲求を一つずつ見てみます。

 

① 生理的欲求(Physiological needs)
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ここには生き物としての、もっとも基礎的な身体的・生理的・本能的欲求が入ります。いわゆる3大欲求と呼ばれる、食欲、睡眠欲、性欲だけでなく、呼吸、水分、休息、排泄に対する欲求も、この生理的欲求に該当します。

 

水の中で溺れそうになっている人は、酸素、呼吸することを求めて、無我夢中でもがくように、呼吸ができなくてはそれ以外のことは何も考えられないくらいの重要な欲求です。これらの欲求を、きちんと満たすことが全ての出発になります。

 

 

② 安全の欲求(Safety needs
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生命のベースとなる生理的欲求が満たされると、次に出てくるのは「身の安全を確保したい」という欲求です。

 

これは、普段、平和な日本で生活を送っている方にはピンとこないかも知れませんが、災害にあった時など急にそれらは切実な欲求となりますし、収入が安定しない仕事をされている方は「安定した仕事に就きたい」と感じる時には、この「安全の欲求」がモチベーションになっています。

 

急に仕事を失ったり、様々な事情で仕事や家を失ってしまった方にとっては、自分の身を安全に守れる場所の確保、経済的な安定が一番の優先事項になります。それが得られない状況の中で、「どうやったら自分の可能性を最大限に発揮できるだろうか」という欲求は出現しないのです。

 

また、この「安全の欲求」には「感情的な安定」「健康の安心・安定」といったものも含まれますので、精神的な病を抱えていたり、身体的な病気になってご自分の健康に不安を感じている方にとっても、この安全感・安心感が満たされていないと感じるでしょう。

 

 

 

③ 愛と所属の欲求(Love and belonging needs
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さて、生理的欲求、安全の欲求が安定して得られると、次に出現する欲求は「愛と所属の欲求」です。

 

この欲求は、社会的欲求と呼ばれることもありますが、例えば、同僚のチームに属することから、組合、クラブあるいは趣味のグループなどの一員として受け入れられていると感じる時に「自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割がある」という感覚が得られ、この欲求は満たされます。

 

また、他者に受け入れられている、どこかに所属し、そこで受け入れられているという感覚も「愛と所属の欲求」が満たされるのに重要ですが、例えば、それらは友情、家族(両親、兄弟姉妹、子供)、夫婦・パートナーとの間に身体的・感情的な親密さ、絆が感じられることによって満たされます。

 

 

④ 承認欲求(Esteem needs
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ここからは、自我(エゴ)によって突き動かされる欲求となります。

 

承認欲求の主な要素は、自己肯定感(自分は価値がある存在で尊重を受けるに値すると信じられること)と自尊心(自己成長と何かを達成する可能性に自信が持てること)です。

 

承認欲求には、2つのタイプがあるとマズローは言います。

 

一つは他者からの尊敬や承認に基づく自尊心、そしてもう一つは、自己信頼感や自律性を得ることで出現する自尊心で、他者からの評価よりも自己評価に基づくものです。

 

◽️ 他者からの尊敬や承認に基づく自尊心・・・他者からの評価、地位、他者との比較による優越、名誉といったものを求める欲求

 

◽️ 自己評価に基づく自尊心・・・スキルの熟達、自己の能力への自信、何かを達成すること、自由と独立といったものを求める欲求

 

 

⑤ 自己実現欲求(Self-actualization needs
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こうして1から4までの欠乏欲求が満たされた時に、優先される欲求が自己実現欲求です。

自己実現欲求とは、自分の持つ人としての最大限の可能性を発揮したい、それを具現化したいという欲求です。


マズローは自己実現の欲求について、こんな風に言います。


”自分自身、最高に平穏であろうとするなら、音楽家は音楽をつくり、美術家は絵を描き、
 詩人は詩を書いていなければいけない。人は、自分がなりうるものにならなければいけない。人は、自分自身の本性に忠実でなければならない。このような欲求を、自己実現の欲求と呼ぶことができるであろう”



マズローは自己実現を果たしたと思われる個人を研究し、自己実現者に見られる共通の特徴を見出しました。彼が研究した人の中には、アブラハム・リンカーン、トーマス・ジェファーソン、アルバート・アインシュタインなどがいます。


マズローがMotivation and Personality『動機と人格』)の中で挙げた自己実現者の特徴のうち、主要なものをあげてみます。(訳は筆者によるものです)


1) 自己実現した人は、未知のものや曖昧なものを受け入れる
Self-actualized people embrace the unknown and the ambiguous.


2) すべての欠点と一緒に自分自身を受け入れる
They accept themselves, together with all their flaws.

3) 目的地だけでなく、旅を優先して楽しむ
They prioritize and enjoy the journey, not just the destination.
 
4) 本質的に型にはまらないが、ショックを与えようとしたり、邪魔をしようとはしない
While they are inherently unconventional, they do not seek to shock or disturb.


5)欲求を満たすことではなく、成長によって動機づけられている
They are motivated by growth, not by the satisfaction of needs.
 
6) 自己実現した人には目的がある
Self-actualized people have purpose.


7) 些細なことで悩まない
They are not troubled by the small things.


8) 自己実現した人は感謝している
Self-actualized people are grateful.


9) 少数の人々と深い関係を共有しているが、全人類に対する一体感と愛情も感じている
They share deep relationships with a few, but also feel identification and affection towards the entire human race.

10) 自己実現している人は謙虚である
Self-actualized people are humble.


11) 自己実現した人は周りの文化に組み込まれることに抵抗する
Self-actualized people resist enculturation.

12)  にもかかわらず、自己実現している人は完璧ではない
Despite all this, self-actualized people are not perfect.

 

注意したいのは、これらの記述は「自己実現者になるためのチェックリスト」ではありませんし、これらを全て満たしていないと自己実現者にはなれないというようなものでもありません。


 

自己超越欲求(Self-transcendence needs
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1971年に出版されたマズローのThe Farther Reaches of Human Nature『人間性の最高価値』)という本の中に、”Theory Z”(Z理論)という章があります。

その書き出しは、こうです。

“私は最近、自己実現している人々を二種類(あるいはより良いもの、度合い)に区別することがますます有用であることに気がついたのです。明らかに健康ではあるが超越の経験をほとんど、あるいは全くしていない人々と、超越的な経験が重要であり中心的でさえある人々です。”

“I have recently found it more and more useful to differentiate between two kinds (or better, degrees) of self-actualizing people, those who were clearly healthy, but with little or no experiences of transcendence, and those in whom transcendent experiencing was important and even central.” 


冒頭でも書いたように、マズローが晩年になって自己実現した人々の中にさらに二種類の人々の違いを区別し、自己実現欲求の次に来るものとして追加したのが自己超越欲求です。


そして、自己実現者と自己超越者の最も大きな違いとして挙げたのが「至高体験」の重要性「在ること」への認識、そして「高原体験(plateau experience)」です。

(*「高原体験(プラトー体験)」とは、至高体験よりも、感情的ではなくより穏やかで静かな、自発的に体験できる、驚異や一体感、「在ること」の価値に対する反応としてマズローが名付けたものです。


では自己超越における次元として重要視した「至高体験」について、もう少し見てみます。マズローは、至高体験をこんな風にも表現しています。

“ビジョンに無限の地平が開けていく感覚、かつてよりも力強く同時に無力になっていく感覚、大いなる恍惚感と驚異と畏敬の念、時間と空間における定位の喪失感、最後に、非常に重要で貴重なことが起こったという確信を得て、その対象者はこのような体験によって、日常生活においてもある程度変容し、強化されていく。”

"feelings of limitless horizons opening up to the vision, the feeling of being simultaneously more powerful and also more helpless than one ever was before, the feeling of great ecstasy and wonder and awe, the loss of placing in time and space with, finally, the conviction that something extremely important and valuable had happened, so that the subject is to some extent transformed and strengthened even in his daily life by such experiences.”

ここで、マズローがTheory Zの中で、自己実現者にはあまり見られずに、自己超越者によく見られる特徴としてあげた24の特徴を見てみます。(訳は筆者によるものです)


1)  至高体験と高原体験が人生で最も重要なものとなる

2) さらりと、普通に、自然に、そして無意識で「在ること(Being)」の言葉で話す

3) 彼らは一体的に、あるいは聖なるものとして物事を知覚する(すなわち、世俗的なものにおける聖なるものを知覚する)

4) より意識的に、より意図的に高次のものへ動機づけられている

5) 超越者は互いに認識しあい、初対面でもすぐに打ち解けて親しくなる

6) 美に対して反応しやすく、、全てのものを美化する。より容易に美を見つける
  
7) 世界について、よりホリスティック(包括的)である。超越者は人類やコスモス(宇宙)は一つであるという風に、より容易に、より柔軟に、より自然に考える

8) 精神間、対人間、文化間、そして国家間において自然とシナジー(相乗作用)する傾向がある、、、相乗作用は、自己中心と非自己中心という二分法を超える

9) より多く、より容易にエゴ(自我)、自己、アイデンティティを超える

10) 愛すべき人たちであり、、、より畏敬の念を起こさせる

11) 革新者、新しいものの発見者になりやすい、、、存在価値の明確なビジョンをもたらす

12 ) 健康な人よりもあまり「幸せ」ではないという漠然とした印象、、宇宙的な悲しみ、あるいは存在の哀しみ、、おそらくこれは、超越者たちがとても簡単に、とても鮮明に見ることができ、原理的にはとても簡単に達成可能な理想的な世界と、実際の世界の対比から来ている、、どんな超越者も、座って5分で全く現実的に実現可能な平和、兄弟愛、幸福のためのレシピを書くことができる

13) 彼らは容易に欠乏と存在の両方の領域に同時に住むことができる、、一人一人の人間のこの神聖さを、生きとし生けるものでさえも、また生きとし生けるものでない美しいものでさえも、超越者は一瞬たりとも忘れることができないほどに、その現実を容易かつ直接的に認識している

14) 超越者は知識の増加と神秘性と畏怖の増加の間に、通常の逆相関関係よりもむしろ正の相関関係を強く示している

15) 超越者は他の自己実現者よりも「変人」や「変わり者」を恐れていないはずで、それゆえにクリエーター(時々変人や変わり者に見える)の良い選別者になる可能性が高い

16) 必要悪を理解している感覚において「悪と和解」している、、悪に対するより大きな同情と、悪に対するアンビバレントではない不屈の戦いの両方を生み出す

17) 彼らは自分自身を、才能の担い手、超越者の道具、いわば大いなる叡智や技術、リーダーシップや効率性の一時的な管理人と見なす、、「トランスパーソナル」な自我の喪失

18) 有神論的または無神論的な意味での深遠な「宗教的」または「霊性的(スピリチュアル)」な経験をする傾向がある

19) 自我、自己、アイデンティティを超越して、自己実現を超えていく方が簡単だと感じている

20) より多くの終わりの体験(そのようなもの)

21) 超越者はよりタオイスト(道教)的である。、、存在認識は、すべてのものをより奇跡的に、より完璧に、あるべき姿のままに見せる

22) ポストアンビバレント、、、完全な心のこもった無制限の愛、受容、表現力

23) 金銭は豊かさと人格の成熟度が増すにつれてその重要性が着実に後退していく一方で、より高い形態の報酬やメタ報酬は着実にその重要性を増していく、、、自己実現している人の大部分は、とにかく仕事と遊びを融合させている、、、彼らの中には、とにかく趣味でやっているであろうこと、つまり本質的に満足できる仕事をしていることでお金をもらっている、、、超越者は至高体験や存在認知をより可能にする仕事を積極的に探している、、超越者は歴史を通して、自然にシンプルさを好み、贅沢、特権、名誉、所有を避ける

24) 超越者はシェルドンの外胚葉型であることが多いように見える


自己超越者の24の特徴の全文についてご興味のある方は、コチラでご覧下さい→マズローの欲求の階層説




 

2020年07月28日 19:00

不確実な人生で運を味方につけるには

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東京都の休業要請も、本日6月19日に全面解除となりました。

 

一見、日常生活が戻りつつあるようですが、マスクを付けながらの生活が続き、第二波への警戒があるなかでは、心の中のアラームが鳴り止むのはまだ先のことではないかと思います。

 

この状況では旅行や観光などは控えている方も多いのではないかと思いますし、そうした業界で働かされている方には先行きへの不安は拭えない状況が続いているのではないかと思います。

 

人生は予期できないことの連続ですが、それはキャリアにおいても同じことです。

 

旅行業界や観光業界のみならず、様々な業界においてこれから先のキャリアプランの変更を迫られている方もいるかもしれません。

 

けれど、こうした不測の事態、偶然の不運をネガティブに捉える必要はないと主張する研究者がいます。

 

スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ(John D. Krumboltz)教授です。

 

クランボルツ教授は、1999年にサンフランシスコシティカレッジのキャリアカウンセラーのKathleen E. Mitchellと、 カリフォルニア州立大学の助教授のAl S. Levinと共に、

 

計画的偶発性理論/プランドハプンスタンス理論(Planned Happenstance理論)を提唱し、キャリアにおける運や偶然が果たす役割を指摘し、むしろそれを味方につける重要性を指摘したのです。

 

今回のブログでは、このプランドハプンスタンス理論を紐解きながら、この先行きが見えない状況を味方につける考え方をご紹介したいと思います。

 

この考えは、現在のような状況でより良いキャリアを考える上でも重要なヒントをくれますが、不確実な人生において、運を味方につけて生きていくためにもとても役に立つ考えだと思います。

 

これまでのキャリアプランの考え

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キャリアプランは、年功序列や一つの会社で一生働き続けるということがそれほど当たり前では無くなってきた現代において「自分がどんな未来を理想としているのかを明確にして、そこに辿り着くための具体的な計画が必要」だという考え方に基づきます。

 

そして、この考えの根底には、「将来が(ある程度は)予測できる」という前提があります。

けれど、本当に将来は予測できるのでしょうか

私たちの人生は研究室のような無菌状態にあるのではなく、実は様々な不確定要素に満ちているというのが現実であるということを、私たちは忘れていたのではないでしょうか

 

第二次世界大戦の終戦から75年、日本では多くの大災害も経済的なショックも起こりましたが、世界全体がひっくり返ってしまうような出来事というものを経験して来ませんでした。

 

戦後続いてきた平和な世界においては、「将来を予測して、未来の目標とそこに辿り着くための具体的な計画を立てる」という方法は、効果的であったのだと思います。

 


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「平和ボケ」という言葉があるように、私たちは心の何処かで今ある日常はこのまま何も変わらず続いていくという幻想を抱いてしまっていたのではないかと思います。

 

キャリア支援の立場には、運や偶然などの不確実な要因の重要性に注目するものは以前から存在していました。けれど、それらはどちらかというと否定的な見方をされることが多かったのです。

 

一方で、コロナ以前から、IT技術の進化に伴う大きな社会の変化がやってくること、それに沿ったこれから先の未来の仕事環境の変化については言及されてきました。

 

おそらくそうした状況の変化も受けて、この数年で、これまでは否定的に紹介されることの多かったプランドハプンスタンス理論が、再評価されてきています。

 

プランドハプンスタンス理論とは

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「将来が予測できる」という前提とは反対の、「人生は偶然に支配されている」「キャリアはコントロール可能なものではない」という立場に立った上でキャリア支援を考えようとするのがプランドハプンスタンス理論です。

 

クランボルツ教授はこう言います。

 

人生の目標を決め、将来のキャリア設計を考え、自分の性格やタイプを分析したからといって、自分が望む仕事を見つけることができ、理想のライフスタイルを手に入れることができるとは限りません。

 

人生には、予測不可能なことのほうが多いし、あなたは遭遇する人々や出来事の影響を受け続けるのです。

 

その事実を認めた上で、こうしたコントロールできない、予期できない偶然の出来事、不運や幸運を積極的に活かしていこうとするところに、この理論の大きな特徴があります。

 

クランボルツ教授は、成功したビジネスパーソンの80%の方が、自分のキャリアにおいて「偶然の出来事」が果たした役割が大きかったことに言及したと指摘しています。

 

ただ、彼らはただ何もせずに、天から降ってきた幸運を享受した訳ではないのです。

こうした「偶然の出来事」によって成功した人々にはある共通した行動特性が見られたと言います。

 

そして、私たちが彼らと同じように偶然の出来事を味方につけて人生をより豊かなものにするには、5つのスキルを磨いていく必要があると言います。

その行動特性、5つのスキルとは次のものです。

1. 好奇心(Curiosity): 新しい学びの機会を模索する(exploring new learning opportunities)

2. 持続性(Persistence): たとえ失敗しても精一杯努力し続ける(exerting effort despite setbacks)

3. 柔軟性(Flexibility): 姿勢や状況を変えていく(changing attitudes and circumstances)

4. 楽観性(Optimism): 新しい機会には可能性があり達成できるものと考える(viewing new opportunities as possible and attainable)

5. 冒険心(RiskTaking): 結果がどうなる分からない状況でも恐れず行動する(taking action in the face of uncertain outcomes)

お気づきかも知れませんが、私たちは赤ん坊の時は、皆こうでした。

身の回りにあるもの全てに興味を持って、手当たり次第にそれを口の中に入れてみたりしていたのです。

何度立ち上がることに失敗しても、めげずにまた立ち上がろうとしていたのです。

もちろん、失敗を学んで、恐れることを学ぶことはサバイバルする上では重要なことですから、赤ん坊のように何も考えずにやみくもに手を出すように戻るという意味ではありません。

私たちは学んだから恐くて、恐いから躊躇うのです。

私たちは失敗=痛みだと学びました。

だとしたら、もう一度、「失敗」について違う視点から学び直す必要があるのかも知れません。
 

クラムボルツ教授は、失敗についてこう言います。

●失敗や間違いはよく起こることであり、当たり前のことであり、学びのあるものだということを認識しよう
●自分の失敗を活かそう
●他の人の失敗から学ぼう
●どんな意思決定にも偶然性が影響していることを理解しよう
●失敗に対して建設的に取り組もう
●前へ進もう

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つまり、失敗とは当たり前に起こる避けられないもので、そこから学んだり成長したりできるものだということ、失敗=学びだということを失敗を通して学んでいく必要があるのでは無いでしょうか。
 

こうしたことを踏まえて、クランボルツ教授は私たちにこう助言します。

* キャリアに影響を及ぼすような予期せぬ出来事は、正常であり、避けられないことであり、望ましいことであることを認めよう。

* 優柔不断な状態/決められない状態は、解決すべき問題ではなく、将来の予期せぬ出来事を利用できるようにするための計画的なオープンマインドの状態だと考えよう。

* 予定外の出来事を、新しい活動を試したり、新しい興味を持ったり、古い思い込みに挑戦したり、生涯学習を続ける機会として利用しよう。

* 将来、有益な予定外の出来事が起こる可能性を高めるための行動を開始しよう。

* キャリアを通した学習のための継続的なサポートを受けよう。

 

今ほど、プランドハプンスタンス理論を活用するのに絶好の機会はありません。

私たちの好奇心と、オープンマインドで新しいものを探っていくような感覚を大事に、この予測できない状況を進んでいきましょう。

2020年06月19日 19:00

75年間のハーバードの研究成果からみる「満たされた人生」の秘密

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コロナ禍がもたらしたロックダウンによって、世界中で家庭内暴力、DVの増加が問題になっています。イギリスでは、全国家庭内虐待ヘルプラインのサイトへのアクセスが、過去2週間で10倍に増加したことがBBCのニュースになりました。

 

日本は、そこまで厳しい外出規制はありませんでしたが、自粛生活の中で家族と過ごす時間が増えたことでコミュニケーションの問題を感じた方、ストレスを感じた方も多かったと思います。

 

また、一人で生活されている方は、そのことによる不安や孤独を感じたという声も聞こえてきました。

 

コロナ禍によって、私たちは、周囲の人との人間関係、関わり方を改めて見つめることになったのではないでしょうか。

 

そこで、今回のブログでは、人間関係を考えるヒントを、75年間という稀に見る長期の研究のなかで明らかにされた、幸せな人生の秘密から考えてみたいと思います。

 

 

ハーバード成人発達研究とは

この研究は、「史上最も長期に渡って成人を追跡した研究」です。研究が開始されたのは、何と第二次世界大戦よりも前の1938年です。そこから75年もの長期間にわたり、2つのグループの724人の「身体の健康」と「心の健康」の状態を追いかけ続けました。(このブログは数年前に行われた講演をベースに書きましたが、2020年現在は80年以上に渡る研究となっています)

 

研究の目的は、「幸福と健康の維持に本当に必要なものは何か」を明らかにすること。

 

対象となった2つのグループのうち、1つは456人のボストンで経済的に恵まれない環境で育った人たちで、もう1つは268人のハーバード大学を卒業した、いわゆるエリート達です。

 

つまり、調査の対象となった被験者たちは、様々な社会階層のひとが含まれているということです。また、経済的に困窮した状態から抜け出した人もいれば、病気になったり、様々な事情で逆の道を辿っていった人もいました。

 

研究者たちは、血液サンプルの分析、脳スキャンといった科学的な調査と、被験者のアンケートの回答、家庭訪問などの調査によって、彼らの仕事や家庭生活、健康状態を記録し続け、調査結果を分析し、その結果をまとめてきました。

 

 

幸福な人生のたった一つの重要な秘密 

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75年に渡る「史上最も長期に渡って成人を追跡した研究」の幸福と健康の維持に必要なものは何かという結論は、とてもシンプルです。それは、富でも、名声でも、必死に働くことでもありませんでした。

 

この研究の4代目の責任者である心理学者のロバート・ウォールディンガー教授は、講演の中でこう言っています。

 

 

"The clearest message that we get from this 75-year study is this: Good relationships keep us happier and healthier. Period."

 

75年間におよぶこの研究が明確に示しているポイントは、良い人間関係が私たちの幸福と健康を高めてくれるということです。これが結論です」

 

研究が示したことは、家族、友達、社会のコミュニティとつながっているほど、身体的な健康度が高く長生きで、幸福度も高かったということです。逆に、孤独は"toxic"(有害)であることが分かりました。

ただ、ウォールディンガー教授は指摘しています。

 

"And we know that you can be lonely in a crowd and you can be lonely in a marriage, so second big lesson that we learned is that it's not just the number of friends you have, and it's not whether or not you're in a committed relationship,”

 

「しかし群衆の中や、結婚生活の中でも孤独を感じることはあります。つまり、2つ目の我々が学んだ大きな学びは、大切なのは友人の数ではないということ、交際相手がいるかどうかでもないということです。」

 

では、何が重要なのでしょう。

 

"It's the quality of your close relationships that matters."

 

「大事なのは、身近にいる人たちとの人間関係の質なのです」

 

人間関係の質、とはどういうことでしょう。それは温かく、親密な関係性があるかどうかです。信頼し、安心して、互いに頼り合えると感じられるかどうか。


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ただ、ウォールディンガー教授は、それが簡単なことだと言っている訳ではありません。むしろ、それは昔から言われてきたことなのに皆がその価値を無視していると言います。

 

「親密で良い関係は、包括的に私たちに益となっているという教えは今に分かった事ではありませんね。何故そんな関係は築き難く、無視され易いのでしょう。誰もそうですが、私たちは手っ取り早く手に入れられる、生活を快適に維持してくれるものが大好きです。人間関係は複雑に込み入っています。家族や友達との関係をうまく維持して行くのは大変な仕事です。その地道な努力は地味で、その上その仕事は一生続くものです。終わりはありません。。75年間に渡る研究で、定年退職後一番幸福な人は仕事仲間に代わる新しい仲間を自ら進んで作った人達です。」

 

教授が指摘しているように、質の高い人間関係は、築くのは簡単ではなく手っ取り早くは手に入らないものです。地道で地味な努力を要するもので、ずっと維持していく必要があるものなのです。

 

人間関係は、まるで生き物のようです。そこにエネルギーを割いて、栄養を注がなければ枯れて、死んでいってしまいます。

 

最近のミレニアム世代に行われた調査では、80%の若者が人生の目的はお金持ちになることと回答し、50%の若者はもう一つの大きな目的は有名になることと回答したそうです。人生のゴールが、お金持ちになって、有名になることだと思っていれば、当然、そこにエネルギーも時間も使い、質の良い人間関係を築くことは後回しになってしまうでしょう。けれど、それでは幸せを手に入れることは出来ないというのが、この研究が教えてくれていることなのです。

 

「最近の調査での新世紀世代のように、この研究の参加者の多くは、彼らが青年期に入った時、名声や富や業績が良い生活をするには必要なものだと、本当に信じていましたが、75年もの間我々の研究で繰り返し繰り返し示されたのは、最も幸せに過ごして来た人は、人間関係に頼った人々だという事でした。それは家族、友達やコミュニティだったり様々です。」

では、そうした「良い人間関係」温かく親密な信頼関係を身近な人と築くにはどうした良いのでしょうか。  
 

良い人間関係を築くために

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周囲の人と良い人間関係を築きたいのに、相手を信頼して心を開けなかったり、攻撃してしまうこともあります。あなたと良い人間関係を築こうと誰かが近づいてきたとしても、どうやって親密な関係を築いて良いのか分からずにそれを遠ざけてしまったり、それを失うことを恐れて自分から離れてしまうこともあり得ます。

ハーバード成人発達研究の2004年までの責任者であったジョージ・バイラント教授は、「愛を遠ざけずに人生に対処する方法を見つけること」の重要性を強調しています。


それは自分の感情やストレスを適切に対処する方法を身につけていくことが大事だということです。また、そうするためのサポートを求めていくということでもあります。それはセラピストやカウンセラーかも知れませんし、自己成長グループや、社会的なサポートグループかも知れません。

多くの方が「親密な人間関係が築けない」「人が近づくと遠ざけてしまう」「人を信頼できない」と言ったテーマを持ってカウンセリングを開始します。

自分自身の心の傷やマインドセット、小さな頃に学んだ世界や人や自分自身に対するビリーフ(信念)が、人を信頼し、心を開き、人に頼ることを邪魔してしまうことがあるからです。そうしたトラウマやビリーフは浅いものであれば、人間関係のなかで癒されたり解消されることもありますが、深いものであれば、やはりセラピーやカウンセリングが必要だと思います。

また、そうした良い人間関係を築くには、それが可能な相手がどうかということも重要なポイントです。

一生懸命に良い関係を築こうとする家族や友人、パートナーが、様々な要因で人格的な障害を持っていたりすれば、その相手もセラピーなどを受けて変わるまでは難しいと言わざるを得ません。もし、相手にその準備が無いと感じたらその相手とは適切な距離を持って、あなたと良い関係を築くことができる相手を探す必要があるのです。

温かく、親密で、互いに信頼できる人間関係を築くには、完璧な人間である必要はもちろんありません。けれど、自分も相手もある程度、オープンで内省的であるということが大事ではないかと思います。

オープンであるとは、良いものも悪いものも自分の感情に対して開かれていることです。それを受け止めて適切な表現をすることができることです。自分の弱さやダメなところを必死で隠すのではなく、リラックスして自分らしく居られることです。

内省できるとは、自分を振り返る心のスペースがあることです。完璧じゃない私たちが、相手を傷つけたり至らないところがあれば、相手の立場になってその痛みを知り、自分の振る舞いを反省して成長していけることです。

そうした地道な努力は、手っ取り早くも簡単でもありませんが、私たちを本当の「満たされた人生」に導いてくれるものだということを、この研究は教えてくれています。

2020年06月11日 19:00

天岩戸神話とコロナ明け

天照大御神

枝年昌 / Public domain

日本では、ようやく非常事態宣言が解除されました。ホッとされている方も多いのではないかと思います。

 

けれど、いま、精神科医や心理士など、多くのメンタルヘルスに関わる人たちが気にかけていることがあります。

 

それは、「荷下ろしうつ」と呼ばれるものです。

 

荷下ろしうつとは、一生懸命に頑張った後に、ドッと疲れが出ることで生じる抑うつ症状のことです。

 

通常、頑張っている最中というのは、必死なものですから疲労に気づきにくくなります。

 

また、ストレス反応には①警告期、②抵抗期、③疲はい期、という三段階があって、ストレスを感じてから直後は様々な身体的・精神的なストレス反応がありますが、少し経つと一時的に抵抗力が強まって、何事もなかったかのように過ごせてしまいます。けれど、その状態が長期化すると、一気にダメージが押し寄せてくるのです。

 

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緊急事態宣言発令中は、皆さん、意識的、無意識的に強い緊張を感じていたことと思います。

 

気にしなければいけないこと、やらなければいけないことが急に増えて限界を感じながらも、自分がやるしかないと走り続けた方も多かったことと思います。

 

睡眠不足や体のだるさや痛みをぼんやりと感じながらも、それどころではないと頑張って来られたと思います。

 

そうして抱えてきた疲労が、気が緩むことで一気に押し寄せて来るのが今の時期です。

 

 

けれど、どうぞこれをネガティブに捉えないでください。これは私たちの命を守る、とても大事なサインなのです。

 

何のサインかというと、「あなたは十分頑張りました」というサインであり、「あなたには休息、セルフケアが必要」というサインです。

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もしも睡眠時間が確保できていなかった方は、まずは眠りましょう

 

神経が高ぶってしまって眠れない場合には、市販の睡眠導入剤などの助けを借りる方法もありますし、メラトニンという睡眠ホルモンが夜にしっかりと放出されるように、朝の光を浴びるようにして、夕方以降は家の中の明かりを少し薄暗くしておくのも大事です。

眠る前に、濡れたタオルをレンジで温めてホットタオルを作って目の周りを温めることで副交感神経が優位になりリラックス出来ますし、皮膚温が上がることで、カラダの熱の放熱が促されて眠気も感じやすくなります。

 

 

また、カラダの筋肉の緊張をほぐしていくために出来ることもやってみてください。

 

筋肉にはフィードバックシステムがあり、筋肉に力が入って緊張していると、自律神経に影響を与えます。

 

ですから、出来るだけ筋肉の緊張をゆるめていくことが重要です。

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首や肩の緊張奥歯の噛み締め腕の緊張お腹の緊張など、ストレスを感じると力が入りやすい部位を中心にゆるめていきます。

 

入浴剤などを入れてぬるめのお風呂に浸かるのも良いですし、先ほど同様、濡れたタオルをレンジで温めたホットタオルで首や肩を温めることで血流を良くする方法もあります。

ストレッチで伸ばしたり、マッサージなどでもみほぐすのも良いです。

 

そして、忘れてはいけないのが、心の緊張を解くこと

 

そのヒントを探るために、日本の神話である天岩戸神話を見てみたいと思います。

 

 

天岩戸神話

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Public domain
 

古事記には、弟である速須佐之男命(はやすさのおのみこと)が乱暴を働いたことを見て畏れた天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、天岩戸に引き篭もってしまうことで世界が闇に包まれてしまう、という神話が出てきます。

 

太陽神である天照大御神が隠れてしまったことで、天上世界である高天原(たかあまのはら)は暗黒となり、地上の葦原中国(あしはらのなかつくに)も、真っ暗闇になってしまいます。

 

夜ばかりが続き、神々の騒がしい声がまるで五月の蝿のようにみち広がり、万物の災いがいっせいに起こります。

 

困った八百万の神々は高天原の河原に集い、どうしたものかと相談し、様々な儀式を行うことにしました。

 

と、勾玉で出来た一連の数珠を作らせ、榊(さかき)の木の枝に、その鏡と数珠と祭具を垂らして下げ立派な捧げものとして奉り、祝詞をとなえます。

 

天手力男神(あめのたぢからおのかみ)という怪力の神さまが岩戸のそばに隠れて立ち、

 

天宇受売命(あめのうずめのみこと)は、桶をふせてその上に乗り、神がかったように胸をあらわにし、裳という腰から下の衣服を陰部まで押し下げて踊ります。

 

するとそれを見た八百万の神々は、高天原が鳴り轟くように一斉に笑いました。

 

岩戸の外の盛り上がりを不思議に思った天照大御神は、思わず岩戸を少し開けてしまいます。そして天宇受売命に、「なぜ天宇受売命は舞い遊び、八百万の神々は笑っているのか」と問います。

 

天宇受売命は、「あなた様よりも貴い神がいらっしゃっているので、喜び、笑い舞い遊んでおります」と答えると、別の神様が先ほどの鏡を差し出します。

 

鏡に写った自分の姿をその貴い神だと思った天照大御神は、ますます不思議に思い、そろそろと岩戸の戸口から出てきたところを、そばに隠れていた天手力男神がその手を取って引き出してしまいます。

 

こうして無事に世界は、光を取り戻したのです。

 

笑い、好奇心、太陽の光

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さて、「笑う」は、「割る」に通じるものです。

 

岩戸を破り、闇を割ることが出来たのは、笑いです。

 

この天岩戸神話と共通したモチーフは、ギリシャ神話にも見られます。

 

ペルセポネーを冥界の王ハーデースにさらわれた豊穣の女神であるデメテルは、娘を探してさまよった後に、エレウシスにある井戸のそばに座り込んでしまいます。

 

誰もデメテルを慰めることが出来ずにいるなか、性器を象徴する女神と言われるバウボがきて、卑猥なダンスを踊ると、デメテルがつい笑ってしまうのです。

 

神話学者のキャンベルは、これを「卑猥さやわいせつ性が、これまでとは別の視野を与える」と表現しています。さらに、「こうしてあなたは、でき上がった人間の領域から離れ、創生や再創造の自然力学のなかで、悲嘆という束縛から解放されるのです」と言います。

つまり卑猥さやわいせつ性というものには、自己超越させる力があると言うのです。

自己超越とは、時間や空間に制約された生活の現象面を超えた深遠なる存在の本質への超越です。


笑いにもまた、そうした自己超越の力があります。

 

さて、話しが横道にそれてしまいましたが、ここでコロナ明けに話しを戻しましょう。

 

長いこと自粛して篭っていた私たちには、今こそ「笑い」の力が必要ではないかと感じます。

私たちも、この疲労感や抑うつ気分を、闇を「割る」ために、たくさん笑いましょう

もちろん、日常のなかで面白くて、楽しくて笑ってしまう場面があれば、それは素晴らしいことですが、

「笑う時間」を自分で作ることも出来ます。

お笑い番組、落語、コメディ映画などを観る時間を作って、たくさん笑ってください。
 

そして、天照大御神が鏡で自分の光を見たように私たちにも太陽光が必要です。

体内時計をリセットして自律神経を整えるためには、光がもっとも大事な要素です。

晴れて太陽が降り注いでいる日の野外は1万ルクスほどの光量があるのに対して、室内の蛍光灯など光量はその20分の1から10分の1程度しかありません。午前中に出来るだけ外で太陽光を浴びるようにしてお過ごしください。


もう一つは好奇心です。
 

天照大御神は、自分の好奇心によって外に出てきたのです。
 

外の世界の、面白そうなこと、好奇心をそそられることに意識を向けてみてください。

 

2020年05月31日 13:14

瞑想のススメ

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瞑想がなぜ必要?

 

私たち現代人は、絶え間ない外的な刺激にさらされています。

 

目から入ってくる様々な情報、物騒なサイレンやテレビやPCからのノイズ、携帯の着信音、数えたらキリがありません。

 

そうした刺激にさらされる度に、私たちの神経システムが反応し、常に活性化された状態にあります。

 

また私たちの心の内側でも、絶え間なく思考がさまよい、感情が乱れ、落ち着くヒマはありません。

 

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身体的な健康のレベルで言えば、刺激を受けるたびに私たちの交感神経は刺激されて、神経が逆立ちエネルギーを浪費しています。

 

副交感神経が優位なリラックスした状態がカラダや細胞の回復・成長モードだとしたら、交感神経優位の緊張状態では細胞は常にアクティブになり、回復・成長モードに入れない状態です。
 


瞑想によって神経が鎮まり、内面が平静になることで、ようやく細胞は回復の機会を与えられます。

 

また、精神的な側面・スピリチュアルな側面からは、常に意識が外を向いて、何かにとらわれていたり、心の表面に思考や感情のさざ波が立っている状態では、私たちの存在の本質を見る機会もありませんし、見ることも出来ません。

 

湖面が静かになり、まるで鏡のようにクリアになることで、その底にあるものが見えてくるのです。

そのマインドの湖面を静めて、底にあるものを見る手助けをしてくれるのが瞑想です。


そこで今回は、瞑想のメリットとそのやり方を詳しくご紹介します。

 

瞑想から得られるもの

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瞑想とは、意識のコントロールです。

 

内的そして外的な意識の集中をしていくことで、感覚や感情を静めて、神経や精神の苛立ちをコントロールしていくことができます。

 

数万時間に及ぶ瞑想の修行を積んだチベット仏教僧の脳波を解析した研究では、修行に費やした時間に比例してガンマ波という脳波が増加することが分かりました。ガンマ波は、強く集中している際に現れる高い周波数の脳波です。

 

また、前回のブログでも触れたように、僧たちの前頭前野は、より密度が濃くなり、別の脳の部位とのネットワークも強くなっていました。

 

特に、感情の働きに関わる扁桃体と前頭前野の結びつきが強くなっており、瞑想修行を積めば積むほど、感情をコントロールする能力が高まっていることが示唆されました。

 

瞑想には、臨床的にもストレス軽減の効果痛みを和らげる効果うつ病の再発率を低下させる効果などもあることがわかってきています。

 

イギリスで2000年頃からうつ病の治療に応用されたマインドフルネス認知療法という瞑想を取り入れた療法が、日本でもようやく心理臨床の場で取り入れられるようになってきました。

 

2つの瞑想のタイプ

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さて、瞑想の効果やメリットについて説明してきましたが、瞑想は体験です。

 

それは生まれつき目が見えない方に「色」について伝えることができないように、体験するしかないものなのです。

今回は様々な瞑想法の中から、集中瞑想(サマタ瞑想)観察瞑想(ヴィパッサナー瞑想)の二つの簡単なやり方をご紹介しますので是非、実践してみてください。

 

瞑想の種類 方法

集中瞑想

Focussed Attention

対象となる物、イメージ、考え、マントラ、チャクラ、感情などに意識を集中(フォーカス)する

観察瞑想

Open Monitoring

自分の呼吸や、考え、欲求、カラダの感覚などをひたすら気づいて観察(モニタリング)する

 

 

集中瞑想(サマタ瞑想)

 

瞑想の基本は意識の向ける先をコントロールすることです。コントロールとは、集中でもありますので、ある程度の集中力は観察瞑想にも必要です。
 

 

そこで、まず最初に集中瞑想を少し練習してみましょう。


 

1. 呼吸にフォーカスする

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①眠くなってしまわないように背中は真っ直ぐな状態でリラックスして目を閉じて座ります手は太ももの上に置いておくか、おへその前あたりで手の平を上にして重ねて置いておきます。


 

②ゆったりとした呼吸をしながら、呼吸と共に胸やお腹が膨らんだり萎んだりする感覚、鼻から空気が出入りする時の感覚や音などに意識を向けます。

 


③続けていると、だんだんと意識が別のところに向いて行ってしまうので、意識が散漫になったことに気づいて、また呼吸に意識を向け直す、ということを繰り返します。

 


最初は、2~3分から始めて、少しずつ慣れてきたら5分、10分、15分、20分と時間を長くしていきます。


 

2. キャンドルにフォーカスする

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今度は、外にあるモノに意識を集中していく方法です。

①目の前でキャンドルを灯したら、基本の姿勢を取り、キャンドルをひたすらじっと見つめます。

 

②しばらくしたら、目を閉じて、そのキャンドルを心の中でイメージしていき、心の目で見続けます。

 

③こちらも、続けていると意識が散漫になるので、それに気づいて、またキャンドルに意識を向け直す、ということを繰り返します。

 

こちらも短い時間から始めて、少しずつ時間を長くしていきましょう。

 

 

観察瞑想(ヴィパッサナー瞑想)


先ほどご紹介したマインドフルネス瞑想も、この観察瞑想の一つになります。

こちらは、集中ではなくプロセスに意識を向けていくものです。
 

ボーッとリラックスしているような時でも、しっかりと頭の中に生じていることを観察してみると、実は色々なことを考えていたり、おぼろげな記憶の断片的なイメージが浮かんでいたり、「足を動かしたい」「額をかきたい」と言った様々な欲求が浮かんでいたり、内臓や皮膚の様々な感覚が生じていることに気づきます。

 

こうしたとりとめのない、浮かんでは消えていく様々な感覚、思考、イメージといったものに、気づきを向けて、ひたすらモニタリングするのが観察瞑想です。

 

ポイントは、私たちは何かを感じたり、考えたりすると、それに対して「こんな風に考えるのはダメだ」と批判したり良い・悪いの判断をしがちですが、それにも気づいて、「今、◯◯はダメだという考えが浮かんでいたな」と観察することです。

 

生じていることに評価を下すのではなくありのままに観察していきます。


それでは、具体的なやり方です。
 

①基本の姿勢になる

集中瞑想と同様に、眠くなってしまわないように背中は真っ直ぐな状態でリラックスして目を閉じて座ります手は太ももの上に置いておくか、おへその前あたりで手の平を上にして重ねて置いておきます。
 

②呼吸に意識を向ける

先ほどと同様に、呼吸に意識を向けて息を吸ったり吐いたりするプロセスに気づきます。腹式呼吸で息を吸うときのお腹の膨らみと、息を吐くときに萎んでいく感覚に気づきます。
 

③頭に浮かぶ様々な考えをラベリングする

そうして呼吸に意識を向けていると、様々な雑念や、痛みやかゆみとなどのカラダの感覚が気になって来ることがあります。それが出てきたら「頬のかゆみ」「脚の痛み」とラベリングしていきます。出来れば、そうしたカラダの感覚に応じて頬をかいてしまったり、脚を動かしてしまうのではなく、放って置くとそれらは消えてしまうことがありますので、ただ観察してみることが出来るかも試してみましょう。

また、何か未来についてのモヤモヤが出てきたら「不安」とラベリングし、過去についての苦しい記憶が出てきたら「後悔」とラベリングするなど、内面的な雑念にもラベリングをしていきます。
 

④呼吸に意識を戻してあるがままに受け入れる

ラベリングをしたら、それについて良い・悪いの判断を下したり、入り込んだり無理に消し去ろうとすることなく、ありのままに受け入れてみます。このとき、呼吸とお腹の動きに意識を集中させるのがコツです。
 


こちらも集中瞑想と同様に、5分くらいから始めて少しずつ時間を延ばしていきましょう。
 

 

只管打坐 思惑や欲に囚われず、ただひたすらに坐る

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瞑想という習慣を身につけるために、アクションを起こすにはモチベーションが必要です。

 

そのためには、様々な瞑想のメリットを知っておくことは、大きな動機付けになることと思います。

 

けれど、一旦瞑想を始めたら、そうした「何かを求めて瞑想をする」態度は、逆に瞑想の妨げになってしまいます。

瞑想を始めても、初めは何も感じないでしょう。1週間、2週間たっても何の変化も起きないかも知れません。1ヶ月、2ヶ月たっても、カラダの不調も良くならず、心の平安も感じないかも知れません。

「これをしたら◯◯が得られる」という気持ちが強くなりすぎると、直ぐにそれが得られなかったらガッカリしてしまいますし、やる気も失くしてしまうことがあります。

そんな時こそ、道元の「只管打坐(しかんたざ)」という言葉を思い出してください。

 

意味は、ただひたすらに坐ること。


 

道元は、座禅をすること、それ自体が悟りである、と言っています。


成果や結果に執着しない、というのはヴェーダやヨガ、仏教や禅など東洋的宗教の偉大な教えです。


長い目でみてやる必要があることを淡々とやること、それが前頭前野の働きを活性化して意志の力を強化してくれる一番シンプルな方法かも知れません。

 

2020年05月24日 13:00

脳から活性化するウィルパワー

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ここ最近のブログでは、「生きる目的を持つ」「信念と、厳しい現実を直視する規律(自制心)」そして、「食べ過ぎのセルフコントロール」といった、「意志」の重要性を書いてきました。

 

この「意志の力」 が自分ではなかなか発揮できないと感じている方や、生まれつき弱いから仕方がない、と思ってしまったり、性格のせいに感じてしまっている方も多いのではないかと思います。

 

けれど意志の力は誰にでも備わっているものです。同時に、育てて活性化して行けるものでもあります。

今回は、より自分らしく生きるために、より気分良く生きるために大事な「意志の力」を活性化させるための秘訣をご紹介したいと思います。

 

意志力はカラダで鍛えられる!?

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では、この「意志の力」は、いったいどこから来るのでしょうか?

多くの方が、「意志の力」はとても純粋な精神力のように感じているのではないかと思いますが、

意志の力がきちんと発揮できるかどうかは脳・そしてカラダのコンディションと大きな関係があるのです。

つまり、意志の基礎力は、身体の状態、脳の状態にあると言えます。
 

もちろん、こころと脳は、まったくのイコールではありませんが、最近の心理学の研究や脳科学によって分かってきた「意志の力」を発揮するために必要な生理的なカラダのコンディションを知っておくことは有益だと思います。

 

脳の中の意志力の場所は前頭前野

「意志の力」を考える時に、一番重要な脳の部位は、前頭葉にある「前頭前野」です。

 

大脳にある前頭葉のうち、一番前の方、ちょうど私たちの額の後ろ辺りにあるのが、前頭前野(Prefrontal Cortex)と呼ばれる場所です。

 

この前頭前野こそ、人間を人間たらしめる脳の最高中枢部であると考えられています。

 

少し横道にそれてしまいますが、まずはこの前頭前野について深掘りしてみたいと思います。

 

前頭前野に関係している機能は、「意志力」を総合的に捉えるときに必要な力のオンパレードです。

ワーキングメモリー(同時に2つ以上のことをする際に使われるもので、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力)、欲求/衝動/行動の抑制計画を立てる、様々な情報を処理して推論する、目標・動機付け意思決定葛藤の解決
注意の集中、など。



つまり、前頭前野は総合的には、「ルーティンな行動では対応できないような状況で、様々な情報を処理、推論して把握し、それに対して適切な判断と意思決定を行い、行動を状況に合わせてコントロールしながら実行する」というような役割を果たしています。
 

これらは、アサジオリが「意志の働き」について研究した際の全体像にとても近いものです。

この前頭前野の働きが、意志力を発揮していくうえでいかに重要かが分かります。
 

前頭前野にダメージを与える睡眠不足とストレス

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さて、そんな大事な脳の部位なのに、私たちが日常的についやってしまっている、前頭前野の働きを鈍らせることがあります。

 

それは睡眠不足です。

 

なかなか睡眠時間が確保できない方にとっては少しショックかも知れませんが、なんと睡眠時間が6時間を切ると、前頭前野は効率的に活動できない状態になります。

 

代わりに、欲求や衝動、本能が活発に働いてしまうのです。

 

もう一つ、前頭前野に大きなダメージを与えるのがストレスです。もう少し具体的に言うと、ストレスを感じた時に放出されるストレスホルモンです。
 

最近、一つの仮説として注目されているのは、うつ病と前頭前野の関係です。

ストレスを受けると副腎からストレスホルモンが放出されます。

本来、脳には異物を入れないようにするバリア機構である脳血液関門と言うストッパーがあるのですが、ストレスホルモンは血流に乗って脳関門を突破してしまうらしいのです。

うつ病の方は、慢性的に放出されるストレスホルモンによって、前頭前野がダメージを受けた状態になっているのではないかと考えられています。

それ故、うつ病の治療には前頭前野の回復が必要なのではないかと言う方もいます。


また別の研究では、前頭前野の体積が大きな人は、大変な出来事をポジティブに受け止めるような楽観的な考えをしやすく

感情的な反応やストレスから身を守りやすい性格であることも分かりました。


ただ、嬉しいことに、前頭前野のダメージは私たちにも回復させていくことが出来ますし、体積を変えていくことも出来ます
 

前頭前野を活性化させ体積を増やす3つのポイント

ではここからは前頭前野をどうしたら活性化できるか考えてみます。

これらの方法は、うつ病によって前頭前野にダメージを受けやすいと言う仮説を考えるならば、

コロナによる不安、疲労、ストレスで「コロナ鬱」っぽく感じている方にも役立つのではないかと思います。

 

①生理的に前頭前野を活性化する方法、1つ目は睡眠です。

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とてもシンプルですが、睡眠のサイクルを整えて適切な睡眠時間を確保しましょう。

上述したように、睡眠時間を6時間以上に増やしていくことで前頭前野は効率よく働いてくれるようになるのです。

研究では、依存症を克服したいと思っている方の克服失敗の確率は、睡眠時間を伸ばすことによって格段に下がることが分かっています。つまり、1時間多く寝るだけでも、意志の力を発揮して欲求をコントロールすることに成功しやすくなったのです。

体内リズムを整えて、夜にちゃんと眠気がやってくるように睡眠のリズムを整えるポイントは、以前のブログでご紹介しましたので、よかったらご参考にしてください。→コチラ
 

②生理的に前頭前野を活性化する方法、2つ目は瞑想です。

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瞑想(メディテーション)の詳しいやり方などは、次回またご紹介したいと思いますが、

瞑想によって前頭前野への酸素と血流が増加することがわかっています。

これも睡眠と同じく、効果はすぐに表れます。たとえば1日10分の瞑想をはじめた人の前頭前野の状態は、数カ月後にはまったく変わって、体積も大きくなり他の部分との結びつきも強くなりました。

また、1日にほんの少し瞑想をするだけで、睡眠時間が増えることも分かっていますので、睡眠時間を増やすためにも瞑想は効果があります。
 

③生理的に前頭前野を活性化する方法、3つ目は運動(エクササイズ)です。

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もともと体を動かす習慣がなかった人が、定期的にエクササイズをするようになると、数ヶ月後には前頭前野の密度は濃くなり、体積が増え、他の脳の部分とのつながりも強くなることも研究で分かりました。

ヨガ、ウォーキング、ランニング、筋トレ、スポーツ、山登り、水泳なんでも構いませんので、続けられるものを無理なくやってみてください。

以上、前頭前野を活性化して密度を濃く、体積を増やす方法をご紹介しましたが、全てやらなくても大丈夫です。

取り組みやすいところから、ご自分のペースで始めてみてください。

2020年05月19日 14:00

これからを生きるためのサイコシンセシス 自分の芯を作る

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以前のブログで、強制収容所や捕虜生活といった過酷な状況をサバイバルしたフランクルやストックデールから、「生きる目的を持つ」こと、「信念と、厳しい現実を直視する規律(自制心)」の両方を持つことの重要性を紹介しました。

 

そして、前回のブログでは、食べ過ぎを防ぐために「巧みな意志」を使うことをご紹介しました。

 

これらは、すべて目先の欲求や、不安や恐怖といった感情に振り回されるのではなく

 

それらと上手に付き合いながら、自分の信念や目的、ビジョンを中心に生きていこうとする、

 

サイコシンセシスの目指す在り方と同じです。

それもそのはずです。サイコシンセシス は、誰にでもある人間としての可能性を最大限に発揮して生きた人々を研究し、そうした人々が心の内側で、何をしているのかを研究したものだからです。


フランクルやストックデールもまた、過酷な状況に置かれながらも、人間性を捨てずに、絶望や不安や恐怖に押しつぶされず、サイコシンセシス的に自分の信念や目的を胸に生きたのです。
 

コロナ禍によって世界中が大混乱に巻き込まれることは、少数の学者くらいしか予期出来なかったことですが、恐らくこれからも、私たちはそうした不測の事態を生きていくことになるでしょう。

 

その度に、私たちの心が揺れ、周囲の世界に振り回され、自分を見失いかけてしまうのは、苦しいですよね。

 

周囲の世界で何か起こると心が揺れてしまうのは仕方のないことだけれど、波に浮かぶブイのように揺れながらも、戻ってこられる「中心」を持っていることは重要ではないでしょうか。


そこで、今回は、サイコシンセシスのエッセンスに触れてみたいと思います。

同一化と脱同一化

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私たちには様々な「欲求」があり、怒りや不安、恐怖といった「感情」があり、頭の中をぐるぐる巡る「思考」があり、変化し続ける「身体」を持っている、とサイコシンセシスでは言います。

 

 

自分の中にある様々な要素を受け容れて、認めて、所有できなければ、逆に私たちはそれに振り回されます。


怒ってプリプリしているのに、「怒ってない!」と否定する方を見かけることはありませんか。

その方は、自分の怒りに同一化してしまっているために、逆に怒りを所有することができず、怒りに支配されています。


不安を消そうとして逆に不安だらけになってしまう時も、緊張を隠そうとして余計に緊張してしまう時も、


それは不安や緊張を受容して所有できていないからです。


自分が感情より大きな存在になるには、欲求よりも大きな存在になるには、それを受容して、ちゃんと所有することが第一歩です。



そしてもう一つ、アサジオリは、私たちが同一化しているもの全てにコントロールされると言いました。

自分が感情だと思い込んでいれば、不安になれば不安に支配されます。

怒れば、怒りに支配されます。

逆に、脱同一化しているものは、私たちがコントロールすることができるのです。



脱同一化とは、同一化してしまっているものから離れることです。

私たちは「欲求」でもなく、怒りや不安、恐怖といった「感情」でもなく、頭の中をぐるぐる巡る「思考」でもなく、変化し続ける「身体」でもない、のです。


それらは全て波のように生じては、消えていくものです。変化していくものです。


これらから離れることが出来たとき、初めて足場が出来ます

自分の足で立てる場所ができるのです。

そして、そこからまるで指揮者がオーケストラを指揮するように、自分を指揮していくことが出来ます。

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アメリカで最も影響力のある女性の一人にも選ばれたオプラ・ウィンフリーは、

「あなた自身の人生の運転席に座るのです。そうでなければ人生の方があなたを「運転」してしまうでしょう。」と表現しました。



自分に対する気づきはとても重要だけれど、それだけでは十分ではない、というのがサイコシンセシスの考えです。


運転手がどこへ向かうのか指揮者がどんな曲をどう演奏しようとするのかという意志を重要視します。


指揮者の位置についたら、運転席についたら、自分の存在の中心にある意志に気づき、意志の働きを強めていくこと。

 

次回は、「意志の働き」を活性化するために私たちに出来ることをもう少し紹介したいと思います。 

 

2020年05月12日 17:01

食べ過ぎのセルフコントロール

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家で過ごす時間が長くなると、ついダラダラと食べ過ぎてしまいますよね。

 

また、ストレスがたまり、食べることが気晴らしや楽しみになっている方も多いと思います。

 

もちろん、こんな状況の中では、そうした気晴らしや楽しみも大事ですが、

過食は腸内環境を荒らし免疫力の低下に繋がる可能性もありますし、

自己嫌悪を感じたり、気持ちも落ち込んでしまいます。

 

そこで今回は、食べ過ぎをなんとかしたいと思っている方のために、そのポイントを心理学の研究からご紹介します。

 

 

必要なのは「強い意志」ではない!?

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「やりたい事をやる」「やりたくない事をやらない」と言うのは、「意志の力」によるものです。

 

食べ過ぎのコントロールでは、「適度に食べる」と言う「やりたい事をやる」、「食べ過ぎてしまう」と言う「やりたくない事をやらない」ための「意志の力」が必要です。

 

でも、「意志の力」と聞くと、ただひたすら我慢する事をイメージしませんか?それは辛いですよね。

 

今回ご紹介する「意志の力」は、そうではありません。

 

私が研究しているサイコシンセシスの創設者であるロベルト・アサジオリは、

 

当時の精神医学、心理学においては全く研究対象となっていなかった「意志」の重要性にいち早く気づき研究した精神科医です。

 

アサジオリは、「意志」には「ただひたすら我慢する」ような「強い意志」だけでなく、

「巧みな意志」と言うものがあるのだと主張しました。

「強い意志」が逆流の川でも負けずに必死に船を漕ぐことだとしたら、

川の流れの方向を理解し、その力を利用して船を漕ごうとするのが「巧みな意志」です。

 

今回ご紹介する食べ過ぎないために使う「意志の力」は、現代心理学の研究成果ですが、

 

これらはアサジオリが指摘した「巧みな意志」に通じるセルフコントロールの方法です。

 

食べ過ぎてしまうのはストレスによる不快感から逃げるため

 

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さて、つい食べ過ぎてしまう時、何となく口さみしくてダラダラと食べてしまうとき、

 

本当にお腹が空いているでしょうか?

 

冒頭で、「ストレスがたまり、食べることが気晴らしや楽しみになっている」と書きましたが、

 

食べ過ぎてしまう時は、お腹が空いたから食べているのではなく、

 

ストレスの解消のために食べてしまっている事の方が多いのではないかと思います。

 

では、ストレス解消って何をしているのでしょう。

 

ストレスを感じると、不安や焦り、モヤモヤ、苛立ち、虚しさといった不愉快な感情を感じ、


それはカラダの不快感を生じさせます。

 

不愉快な感情から逃げるのは逆効果

ストレスを感じた時の、不愉快な感情、カラダの不快感は耐え難いものですよね。

 

けれど、実は多くの人はそれをじっくり感じたことは無いのではないかと思います。

 

不愉快であったり、不快であるために、つい気を紛らわそうとしたり、

 

忘れるためにあれこれしてみたりしてはいませんか?

 

その一つが、食べることではないかと思います。


私たちは、食べることでそれを和らげ、飲み込んでいるのです。


つまりストレスによる食べ過ぎとは、この不快感から逃れるためのものなのです。

 

ところが、心理学の研究が教えてくれるのは、

 

「不愉快な感情から逃げるのは逆効果」ということです。

これが続くと、ストレス→不快感→食べる→不快感が解消されるという一連の負のパターンが出来てしまい、

ストレスを感じるたびに食べたくなってしまいます。

 

受け入れて寄り添う

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気を紛らわしたり、感じないフリをするのではなく、

 

「受け入れて寄り添うこと」にすごいパワーがあるのです。

 

では、具体的にはどうするかというと、

 

まず、自分が感じていること、考えていることを意識化します。

 

もし、「もうちょっと何か食べたいな」と感じているとしたら、

 

それがどんな感覚なのか、カラダの何処にあるのか意識するのです。

 

あるいは、イライラしていたり、不安な気持ちがあるのであれば、

 

今自分は、どんな風にそれを感じているのかを探ってみます

 

さて、この次が重要です。深呼吸をします。

 

不快感や不愉快な感情を感じているところに、息を吹き込むように

 

深呼吸を何度か繰り返しましょう。

 

自分の感情やカラダの感覚に気付きながら呼吸をして、

 

さらに意識を広げて自分が本当にやりたいことを意識します。

 

もしキープしたい体重があれば、それを思い出しても良いし、

 

「適度に食べて胃腸の状態を整えて健康を保つ」でも、

 

「過食しない事で生活習慣病を防いで元気に動ける時間を出来るだけ伸ばす」でも、自分の目標を思い出します。

 

 

衝動の波のやり過ごし方を習得する

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さて、もう一つストレス→不快感→食べるという一連の負のパターンを断ち切る、

 

重要なポイントがあります。

 

それは、「衝動をやり過ごす方法」を身につけることです。

 

食べ過ぎてしまうのは、もちろん不快な感情から逃れたい気持ちもありますが、

 

甘いものや中毒性のあるスナックなどを食べる事で脳が得る、

 

目の前の「快」の感覚を求める衝動もありますよね。

 

食べ過ぎを防ぐために重要なのは、この「衝動」はいずれ消えることを理解することです。

 

食べたい衝動とは少し違いますが、例えばカァーッと頭に血がのぼるような

 

「衝動的な怒り」は、どのくらい続くと思いますか?

 

たったの6秒です。

 

このカァーッと頭に血がのぼるのはカラダ中をアドレナリンが駆け巡るからですが、

 

このアドレナリンがカラダから抜けるまでの時間が6秒です。

 

つまり、1、2、3、4、5、6とカウントダウンしながら待てば、

 

衝動的な怒りの波は落ち着いていきます。

 

同様に、「食べたい」という衝動も、少し待てば消えていくのです。

 

そしてもう一つ心に留めておいて欲しいのは、

あなたは「欲求」でも「感情」でもない」、ということと、

 

すべての「欲求」や「感情」に対応しなくても良い、ということです。

 

それらは、波のようにあなたのところにやってきては消えていくということを意識してみてください。

 

では、具体的に衝動のやり過ごし方を見てみます。

 

まず、最初のところで見たように、食べたいという衝動の波に襲われた時の身体的な感覚、その不快感に意識を向けます

 

そして、その不快感を受け入れ、寄り添います

 

ゆっくり呼吸をしながら、「この感覚を受け入れることができるし、辛抱すれば消えていく」「波のようにピークを超えれば必ず落ちついていく」と意識します。

 

こうして「衝動をやり過ごす」ことを繰り返していくうちに、

 

ストレスを感じるから食べ過ぎてしまう、という連鎖は断ち切ることができるのです。


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最後になりますが、それでも食べてしまうことはあると思います。人間ですから

 

その時には、反省したり罪悪感を感じる必要はまったくありません

反省したり、自分を罰することで意志を強くできると考えてしまう方もいるかも知れませんが、

実はこれもまったく逆効果です。

 

意外かもしれませんが、「意志の力」は罪悪感を感じるほど、自分を責めるほどに弱まってしまうのです。

 

もしそうした自責の気持ちや、罪悪感、自己嫌悪が出てきたら、

 

そうした気持ちにも気づいて、受け入れて寄り添ってあげてください。

 

食べてしまったら、自分を責める代わりに、

 

「そんな時もあるよね」と自分に共感し、

 

「次、また試してみよう」励ましてあげてみてください。

 

 

 

 

2020年05月08日 17:27

「失意」という精神的ダメージから身を守る②

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前回のブログでは、フランクルから絶望的な状況を生き延びる力を学びましたが、

 

フランクルと同様、安全も未来も保障されていない過酷な状況から生還し、

 

失意の危険性を説いた、もう一人のサバイバーをご紹介します。


それは、アメリカ軍将校のジェームス・ストックデールです。
 

フランクルが収容所から解放されて20年後、

 

1965年ベトナム戦争で戦っていたストックデールは捕虜となり捕虜収容所に入れられました。

 

ストックデールは、足に鉄の鎖をつけられ、日常的な暴行を受け

20回以上にわたると言われる拷問が行われた

いつ釈放されるかも分からない7年半もの捕虜生活を生き延びた人です。

 

拷問を耐え抜いたストックデールの逆説

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そのストックデールに、ジェームズ(またはジム)・コリンズが取材をし、

 

その捕虜生活を生き延びることができた原動力について問いました。

 

ストックデールは、こう言います。
 

”I never lost faith in the end of the story, I never doubted not only that I would get out, but also that I would prevail in the end and turn the experience into the defining event of my life, which, in retrospect, I would not trade.”

 

「わたしは結末について確信を失うことはなかったここから出られるだけでなく、最後にはかならず勝利を収めてこの経験を人生の決定的な出来事にし、あれほど貴重な体験はなかったと言えるようにするということを、決して疑うことは無かった」

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つまり、「最後には必ず外に出て勝利をおさめる」という強い信念が彼を支えたのだと言います。
 

盲目的な楽観主義は危険


一方で、生き延びることが出来なかったのはどんな人かというコリンズの質問に対して、

ストックデールはこう答えます。
 

”Oh, that’s easy, the optimists. Oh, they were the ones who said, 'We're going to be out by Christmas.' And Christmas would come, and Christmas would go. Then they'd say, 'We're going to be out by Easter.' And Easter would come, and Easter would go. And then Thanksgiving, and then it would be Christmas again. And they died of a broken heart.”
 

「それは簡単だ、楽観主義者だ。そう、クリスマスまでには出られるさ、と言っていた人たちだ。クリスマスが近づき、終わる。そうすると、彼らは復活祭までには出られると考える。そして復活祭が近づき、終わる。つぎは感謝祭、そしてつぎはまたクリスマス。そうして彼らは失意のために死んでいった


以前にペパー先生のブログから紹介したように、免疫力を上げるのには楽天的でいることは確かに重要です。

けれど、危機的状況では、あと1ヶ月くらいでどうにかなる、といった非現実的で盲目的な楽観主義は失意という大きな精神的ダメージに繋がってしまいます。


ストックデールは言います。
 

This is a very important lesson. You must never confuse faith that you will prevail in the end—which you can never afford to lose—with the discipline to confront the most brutal facts of your current reality, whatever they might be.


「これはきわめて重要な教訓だ。最後にはかならず勝つという確信、これを失ってはいけない。だがこの確信と、それがどんなものであれ、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視する規律とを混同してはいけない」


これが「ストックデールの逆説」です。


つまり、最も厳しい事実や現実を直視しながらも、「最後には絶対に大丈夫」という確信を失わないこと。


普通は、厳しい現実を直視すると悲観的になり、心が折れてしまいがちですよね。

だからこそ、逆説なのです。

目の前にあるもっとも厳しい事実を直視するとは、今の私たちにとっては、

コロナの感染力や、感染した場合に起こりうる最悪の事態、今体験している様々な制限や不自由がまだまだ続く可能性あることなどを、きちんと直視することではないかと思います。


では、その中で「最後には絶対に勝つ」という信念を持ち続けるには、どうしたら良いのでしょう。


ストックデールは、”Faith”(確信あるいは信念)"DIscipline"(規律、統制、自制心)の両方の重要性を説きました。

これこそが危機を乗り切る最大の秘訣かも知れません。


自分がやる必要があることに意識を集中して、それをやり続けるという規律。

そこから生まれる「大丈夫」という自信と、「絶対に乗り切れる」という確信。

その両輪があって、前に進んでいけるのではないかと思います。

 

自分にできること・やる必要があることをやり続ける規律


自分に出来ることは、人それぞれだと思います。

働くために外に出なければならない人は、ソーシャルディスタンスを気を抜かずに行うこと、手洗いやこまめな水分補給、そして免疫力をあげることに集中すること。

また在宅勤務の方や、自粛で家にこもれる方は、生活リズムが乱れて体調を崩さないように気をつけること。

また、もう既に様々な事情で精神的・身体的な不調や苦しさを抱えている方にとっては、布団から出ることは辛いことかも知れません。カーテンを開けることは、しんどいことかも知れません。

そんな時には、自分に優しくしてあげてください。

頭の中にある自分を責める声、出来ていないことを並べ立てる声に耳を貸さずに、あなたがもう既に出来ている事を、それがどんなに些細なことでも労ってあげてください。

私たちは、それぞれ、もう既に充分、頑張っていると思います。

ですから、もう既にやっている事、出来ている事に目を向けましょう。

それが小さな事でも、やっている自分を労いましょう。

そうして「終わりは必ず来る」という確信を持って乗り切りましょう。


 

2020年04月30日 10:00

「失意」という精神的ダメージから身を守る①

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緊急事態宣言が出され、政府はその期限を5月6日としました。

 

心のどこかでは、そんなに早く収束するはずがないと思いながらも、5月6日を心待ちにしている方もいるかも知れません。

 

また、緊急事態宣言が解除されたら、元どおりの日常が送れると期待している方も多いのではないかと思います。

 

けれど、この「◯日までの辛抱だ」「夏になったら解放され元どおりになる」

 

と言った希望の持ち方は、時に私たちに大きな精神的ダメージを与えると唱える人たちがいました。

 

それは、強制収容所での過酷な状況や、何年も続く捕虜生活と拷問を生き延びた人たちです。

 

各国のトップは口々に、コロナウイルスとの戦いは戦争であると表現しましたが、

 

もしそうなのであれば、戦争という過酷な状況を生き抜いた人々の体験から、

今の私たちは何か学べることがあるのではないかと思います。

 

強制収容所を生き抜いたフランクル

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ヴィクトール・エミール・フランクル
という人をご存知でしょうか。

 

彼は、オーストリアの精神科医であり、ユダヤ人です。

 

そして、それ故に、第二次世界大戦の際にナチスドイツによって

 

アウシュビッツ強制収容所に送られてしまいます。

 

もちろん、フランクル一人でなく、彼の両親も、兄も、結婚したばかりの妻も、ユダヤ人として強制収容所に送られ、殺されてしまいます。

 

フランクル自身も、収容所の中で過酷な労働、寒さ、飢え、暴力に苦しみといういつ終わるか分からない収容所の生活を送りながらも、その状況を耐え抜いて生還しました。

 

そして、その時の体験を克明に記録した、ベストセラーとなる「夜と霧」を執筆したのです。

 

家も、家族も、食べるものも、お金も、自由も、すべて奪われてしまった時

 

人は、こんな人生に何の意味があるのだ絶望します。

 

いったい、この人生に、生きる意味などあるのか、と。

 

強制収容所は、こうした全てを奪われた人々の集まりでした。

 

そんな中で、フランクルは囚人たちが何に絶望し、

 

どんなことに希望を見出したのかを精神科医の視点からつぶさに観察しました。

 

そして彼が発見したのは、絶望の中での生き延びる力です。
 

人生に期待するのをやめ、生きる目的を持つ

「クリスマスには収容所から解放される」という噂が広まったのち、

 

その通りのことが起きなかったとき、人々は失望し、自暴自棄になり、力尽きてしまいました。

 

また、夢の中で「5月30日に戦争が終結する」という予言のような声を聞き、それを信じたその人は、

 

何の状況変化も起こらなかった5月29日に高熱を出し、31日には亡くなってしました。

 

フランクルは、「人生に期待するのをやめよ」と言います。

 

人生に何かを期待し、そこに生きる力を託してしまう時、

 

それが現実のものとならなかった時、人は失意のうちに生きる力も無くしてしまいます。

 

そんな状況を生き延びる唯一の道は、「生きる目的」を持つことだとフランクルは悟ります。

 

「生きる目的」を持つためのコペルニクス的転換とは

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そして、そのためには「コペルニクス的転換」が必要だと言います。

 

つまり「人生の意味を問う」ことから、「人生から投げかけられている問いに応える」ことへの転換です。

 

 

「もういいかげん、生きることの意味を問うことをやめ、


わたしたち自身が問いの前に立っていることを思い知るべきなのだ。


生きることは日々、そして時々刻々、問いかけてくる。


わたしたちはその問いに答えを迫られている。


考え込んだり言辞を弄することによってではなく、


ひとえに行動によって、適切な態度によって、正しい答えは出される。」

 

さらに、フランクルは言います。

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「どんな時にも人生には意味がある。

 

未来で待っている人や何かがあり、そのために今すべきことが必ずある」

 

そうして、未来に向けた「生きる目的」だけでなく、

 

極限状態においても人間性を保つことの重要性についても指摘します。

 

囚人たちの中には、そんな過酷な状況にあっても、音楽を楽しみ、夕焼けを見て心を震わす者たちもいたと言います。

 

一瞬、一瞬を大切にして、美や創造の喜びを感じることが、

 

どんな状況にあっても生きがいを見いだす力になるのだと。

 

2020年04月28日 10:13

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