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「失意」という精神的ダメージから身を守る②

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前回のブログでは、フランクルから絶望的な状況を生き延びる力を学びましたが、

 

フランクルと同様、安全も未来も保障されていない過酷な状況から生還し、

 

失意の危険性を説いた、もう一人のサバイバーをご紹介します。


それは、アメリカ軍将校のジェームス・ストックデールです。
 

フランクルが収容所から解放されて20年後、

 

1965年ベトナム戦争で戦っていたストックデールは捕虜となり捕虜収容所に入れられました。

 

ストックデールは、足に鉄の鎖をつけられ、日常的な暴行を受け

20回以上にわたると言われる拷問が行われた

いつ釈放されるかも分からない7年半もの捕虜生活を生き延びた人です。

 

拷問を耐え抜いたストックデールの逆説

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そのストックデールに、ジェームズ(またはジム)・コリンズが取材をし、

 

その捕虜生活を生き延びることができた原動力について問いました。

 

ストックデールは、こう言います。
 

”I never lost faith in the end of the story, I never doubted not only that I would get out, but also that I would prevail in the end and turn the experience into the defining event of my life, which, in retrospect, I would not trade.”

 

「わたしは結末について確信を失うことはなかったここから出られるだけでなく、最後にはかならず勝利を収めてこの経験を人生の決定的な出来事にし、あれほど貴重な体験はなかったと言えるようにするということを、決して疑うことは無かった」

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つまり、「最後には必ず外に出て勝利をおさめる」という強い信念が彼を支えたのだと言います。
 

盲目的な楽観主義は危険


一方で、生き延びることが出来なかったのはどんな人かというコリンズの質問に対して、

ストックデールはこう答えます。
 

”Oh, that’s easy, the optimists. Oh, they were the ones who said, 'We're going to be out by Christmas.' And Christmas would come, and Christmas would go. Then they'd say, 'We're going to be out by Easter.' And Easter would come, and Easter would go. And then Thanksgiving, and then it would be Christmas again. And they died of a broken heart.”
 

「それは簡単だ、楽観主義者だ。そう、クリスマスまでには出られるさ、と言っていた人たちだ。クリスマスが近づき、終わる。そうすると、彼らは復活祭までには出られると考える。そして復活祭が近づき、終わる。つぎは感謝祭、そしてつぎはまたクリスマス。そうして彼らは失意のために死んでいった


以前にペパー先生のブログから紹介したように、免疫力を上げるのには楽天的でいることは確かに重要です。

けれど、危機的状況では、あと1ヶ月くらいでどうにかなる、といった非現実的で盲目的な楽観主義は失意という大きな精神的ダメージに繋がってしまいます。


ストックデールは言います。
 

This is a very important lesson. You must never confuse faith that you will prevail in the end—which you can never afford to lose—with the discipline to confront the most brutal facts of your current reality, whatever they might be.


「これはきわめて重要な教訓だ。最後にはかならず勝つという確信、これを失ってはいけない。だがこの確信と、それがどんなものであれ、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視する規律とを混同してはいけない」


これが「ストックデールの逆説」です。


つまり、最も厳しい事実や現実を直視しながらも、「最後には絶対に大丈夫」という確信を失わないこと。


普通は、厳しい現実を直視すると悲観的になり、心が折れてしまいがちですよね。

だからこそ、逆説なのです。

目の前にあるもっとも厳しい事実を直視するとは、今の私たちにとっては、

コロナの感染力や、感染した場合に起こりうる最悪の事態、今体験している様々な制限や不自由がまだまだ続く可能性あることなどを、きちんと直視することではないかと思います。


では、その中で「最後には絶対に勝つ」という信念を持ち続けるには、どうしたら良いのでしょう。


ストックデールは、”Faith”(確信あるいは信念)"DIscipline"(規律、統制、自制心)の両方の重要性を説きました。

これこそが危機を乗り切る最大の秘訣かも知れません。


自分がやる必要があることに意識を集中して、それをやり続けるという規律。

そこから生まれる「大丈夫」という自信と、「絶対に乗り切れる」という確信。

その両輪があって、前に進んでいけるのではないかと思います。

 

自分にできること・やる必要があることをやり続ける規律


自分に出来ることは、人それぞれだと思います。

働くために外に出なければならない人は、ソーシャルディスタンスを気を抜かずに行うこと、手洗いやこまめな水分補給、そして免疫力をあげることに集中すること。

また在宅勤務の方や、自粛で家にこもれる方は、生活リズムが乱れて体調を崩さないように気をつけること。

また、もう既に様々な事情で精神的・身体的な不調や苦しさを抱えている方にとっては、布団から出ることは辛いことかも知れません。カーテンを開けることは、しんどいことかも知れません。

そんな時には、自分に優しくしてあげてください。

頭の中にある自分を責める声、出来ていないことを並べ立てる声に耳を貸さずに、あなたがもう既に出来ている事を、それがどんなに些細なことでも労ってあげてください。

私たちは、それぞれ、もう既に充分、頑張っていると思います。

ですから、もう既にやっている事、出来ている事に目を向けましょう。

それが小さな事でも、やっている自分を労いましょう。

そうして「終わりは必ず来る」という確信を持って乗り切りましょう。


 

2020年04月30日 10:00

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