心理学の4つの勢力
心理学には、大まかに言うと4つの勢力があります。
第1はフロイトの精神分析、
第2は行動主義心理学、
第3は人間性心理学です。
そして、その後出て来た第4の勢力と呼ばれるものがトランスパーソナル心理学です。
第1の勢力 精神分析
第1の精神分析では、フロイトは、人間の行動を引き起こしている原動力となっているものは、
特定の「欲求」を満たしたいという動機にあるとしました。
けれど、その「欲求」は抑圧され、「無意識」になっていると考えたのです。
無意識の発見です。
そして、その無意識となっているものに意識化することを治療の目的とします。
第2の勢力 実験・行動主義心理学
このフロイトを批判するかたちで登場したのが、第2の勢力、実験・行動主義心理学です。
彼らは、心理学では目に見えない意識や心を扱うべきではないと主張します。
目に見えるもの、観察・測定できるもの、
つまり人間の行動を観察し「行動を修正」することを目的とします。
第3の勢力 人間性心理学
そして、1960年代から70年代にかけてアメリカを中心に盛り上がったヒューマンポテンシャル運動(人間性回復運動)とも連動する形で、
フロイトや行動主義心理学への批判として現れたのが、第3の勢力である人間性心理学です。
アブラハム・マズローは、それまでの人間観が、あまりにも機械的・動物的・病的であると批判しました。
人間には主体性があり、「より良い人生を送りたい」、「もっと成長したい」といった「自己実現欲求」など、より高次の欲求があると主張しました。
有名な、マズローの「欲求の段階説」です。
マズローの欲求の段階についてのリンクはコチラ→マズローの「欲求の段階説」
第4の勢力 トランスパーソナル心理学
そして、人間性心理学の発展の中から人間の個としての体験を超えた体験を重要視した心理学の流れが登場します。
それが、第4の勢力、トランスパーソナル心理学です。
自己実現欲求というものや至高体験といったものを研究し、人間の成長は自己実現にとどまることなく、それを超えた「自己超越」まで広がっていく可能性を感じていたマズローは、
ヒューマンポテンシャル運動の中心であったアメリカのエサレン研究所において「人間の潜在的能力のさらなる到達点」と題した講演の中で、
人間性心理学の次に来るものとしてトランスパーソナル心理学の誕生を宣言したのです。
こうして1969年にトランスパーソナル心理学会誌第1号が発行され、第1回トランスパーソナル心理学会が開かれることになりましたが、
その道を準備した一人であったマズローはそれを待たずに、1970年に亡くなっています。
人間性心理学、そしてトランスパーソナル心理学の先駆者と言われるアサジオリですが、ではサイコシンセシスは何処に入るのかというと、
アサジオリはこの心理学の第1から第4までの流れを一人で到達してしまった天才です。
フロイトの精神分析に同意しながらもそこに限界を感じ満足せず、行動主義的なアプローチも取り入れつつも人間の意志や主体性、成長への欲求を重要視し、
自己超越した精神のあり方をも人間の真実として認めて統合しようとしたのです。