内なるリズムとともに生きるー自律神経のリズム
自分の内なるリズムを意識していますか?
年の瀬も迫り、慌ただしい毎日を過ごしていらっしゃる方も多いと思います。
サバイバルのために環境に合わせて順応するのは、生き物として必須の能力だと思いますが、
その能力ゆえに、私たちのカラダもそんな慌ただしい外部環境に合わせて振り回されてしまっているかも知れません。
実際、私たちのカラダは、
刻々と変化するこの外部環境からの刺激に応じて、
常に変化しています。
ただ、このカラダの内部の反応のうち、
意識にまでのぼり気付くことが出来るのはごく一部です。
そもそもこうした生体反応は自律神経によってコントロールされているので、
私たちが意識してコントロールする必要がないようにできています。
自律神経とは、
瞳孔、心臓、胃腸、唾液腺、膀胱、気管などの内臓の働きをコントロールして、
体内環境を保つための神経です。
この自律神経には、二つの真反対の働きをする
「交感神経」と「副交感神経」があります。
自律神経が働き、
この二つのバランスが保たれているからこそ、
私たちが意識して頑張らなくても、
息をし、寝て、食べて消化し、体温を維持することができます。
自律神経のリズム
自律神経には、リズムがあります。
緊張したり、活動したり、ストレスを感じるときには、
交感神経が優位になり、
知らないうちに心拍数があがり、呼吸は浅くなり、筋肉は緊張します。
自分でも気付かないうちに、手の平や指先に汗をかき、皮膚温は下がっています。
けれど、活動し、緊張やストレスを感じる状況が過ぎ去れば、
今度は副交感神経が優位になり、
自然と心拍数は落ち着き、呼吸は深くなり、筋肉はゆるみます。
手の汗もひき、皮膚温は上がります。
活動するときには交感神経が優位になり、
ホッと一息つくと副交感神経が優位になる。
この交感神経と副交感神経のリズムは、
まるで寄せては引く波のようです。
生活のなかで、活動と休息、ストレスと解放がリズミカルに入れ替わることで、
この自律神経のリズムは整います。
自律神経が整っていることで、
私たちの体内環境は良いバランスに保たれ、体調も整います。
ですから、ストレスや緊張を感じることが悪いわけではなく、
日常の活動や多少のストレスで交感神経が活動していることは重要なことなのです。
大事なのは、その後に力を抜いてホッと一息つき
リラックスできるかどうかです。
逆に、交感神経が働かなくなってしまうと、
副交感神経が優位になりすぎて、心身の不調が出ることもあります。
(鬱状態になられて外に出る気力や意欲がなくなって寝ていることが多くなってしまわれた方は、
鬱の一番辛い時期を過ぎた頃に、少しずつでも散歩をしたり、昼間の活動をすることで自律神経が整い、
カラダの重だるさが楽になっていくことがあります)
通常の生活では、多くの方にとってそうしたストレス状況は一過性のものだと思います。
ですが、年の瀬のように忙しい時期や、仕事がたて込んでしまったとき、
辛いことが長期間続いてしまったとき、
ストレスの原因がすぐになくならないときなど、
ココロとカラダの緊張が続いてしまうときもありますよね。
そんな時には、意識的なストレスマネジメントとリラクゼーションが必要です。
バイオフィードバックで自分の状態に気付く
ストレスマネジメントやリラクゼーションには、様々な方法がありますが、
その一つに、バイオフィードバックがあります。
先ほど、生体反応は無意識下で起こると書きました。
こうした無意識の生体反応を目に見え、耳で聞こえるようにして、
カラダと意識をつなぎ、
自分でコントロールできるようにするのがバイオフィードバックです。
例えば、手の発汗を測るためには、皮膚電気反応(GSR)を測定します。
手の指先に、GSRを測定する装置をつけ、パソコンのモニターでその変化を見られるようにしておくと、
突然バタンと扉がしまる音がしただけで、GSRのグラフは急激に上昇します。
もちろん、本人は意識的にはほとんど何も気がついていません。
そのくらい繊細に、私たちの体内環境は外部の刺激によって変化しているのです。
今度はそのモニターを見ながら、意識的なリラクゼーションをしてもらうと、
急上昇していたグラフが、ゆっくりと下がっていきます。
そうした練習を繰り返していくうちに、どうすればバランスが保てるのかを、
感覚的に習得することができるのです。
筋肉の緊張を測るために、筋電図をとってみると、
パソコンで作業しているときなどはもちろん、
テレビを見ているあいだ、
バスに乗ってボーッとしているあいだ、
歯を磨いているあいだなど、
カラダに力を入れる必要が無いような場面でも
知らないうちに力を入れていることに気付きます。
カラダの力の入れ方は知っていても、
筋肉のゆるめ方を練習したことが無い方は多いのではないでしょうか。
呼吸のリズム
バイオフィードバックでよく取り上げる大事な生体反応が、呼吸です。
呼吸は、私たちの意識と無意識、
意識と自律神経をつなぐ大事な架け橋となるものです。
私たちは、意識して呼吸を止めることも、
早くしたり、遅くしたりすることも出来る一方で、
眠っているときや、無意識でも呼吸をつづけています。
ストレスを感じると呼吸が浅くなるというのは、よく耳にされるのではないかと思いますが、
息を吸って吐くというリズムのなかにも、
交感神経と副交感神経のリズムはあります。
息を吸うときに交感神経が優位になり、
息を吐くときに副交感神経が優位になります。
ということは、ゆっくりと息を吐くことを意識すると、
副交感神経を優位にすることができるのです。
これを読んで下さっている方が、このところ少し疲れを感じていらしたら、
まずはいつの間にか力が入っている首や肩の筋肉をゆるめるために、
肩を下に向けて下げて首と肩の緊張をゆるめ、
4〜6カウントしながらゆっくりと息を吐いて、
お腹の動きを感じてみてください。
忙しくて、自分を見失いそうになったとき、
いつでも戻ってこられる内なるリズムが、
この呼吸のリズムです。
忙しい年末、どうぞ体調を崩さずにお過ごしください。