英雄神話の構造
3つのステージ
前回のブログでは、ジョゼフ・キャンベルがスターウォーズの構想に、
大きな影響を与えたというお話しをしました。
キャンベルの業績の一つは、
英雄神話・英雄伝説に共通する基本構造を明らかにしたことです。
それは、大きくまとめると以下の3つの段階があります。
①Separation 分離・旅立ち
②Initiation イニシエーション
③Return 帰還
①Separation 分離・旅立ち
遠い世界を夢見ながらも農場で平和に暮らしていたルークは、
偶然に購入したR2−D2というドロイドに潜んでいたレイア姫のメッセージを、
またまた偶然にも目にしてしまいます。
そして、そのメッセージをジェダイの騎士であるオビ・ワンに届けようとするR2に導かれ、
オビ・ワンに出会うことになります。
そして、彼からライトセーバーというルークが引き継ぐべき剣を渡され、
危機に瀕しているレイア姫と反乱軍を救うべく、
オルデランという惑星へと誘われます。
こんな風に、多くの英雄がメッセンジャーと出会うことによって、
旅立ちへの召命を受けます。
けれど、日常生活から未知の世界へと旅立つのは、
とても怖いものです。
ルークがそんなことは叔父さんが許してくれないと断ったように、
多くの英雄は最初その召命を辞退します。
すると、ルークの叔父さんと伯母さんは帝国軍に無残にも殺されてしまいます。
召命を引き受けない英雄には、
旅立ちを追い立てるかのようなことが起きるのもまた、
英雄伝説のパターンです。
ルークはこうして、オビ・ワンと共にオルデランへと向かう決意をします。
自分に与えられた召命を引き受けた英雄には、
自然のちからを越えた助けが与えられます。
こうした助けは、決して見るからに分かりやすい華々しい助けではなく、
どこかみすぼらしく、取るに足りないものであることが多いものです。
そうしたものに、心を開き、助けを受け容れられることも
英雄の重要な要素です。
これまで親しんだ場所を離れ、異界に入るとき、
最初の境界を守るものとの対決があり、
自分の限界を超えることによって、その突破が起こります。
こうして英雄は、次のイニシエーションのステージへと入っていくのです。