世界はこうあるべきだ!!の罠
アルバート・エリスとイラショナルビリーフ
前回に引き続き、「認知」について考えてみたいと思います。
現在の「認知行動療法」の基礎をつくった臨床心理学者の一人に、
アルバート・エリスがいます。
アルバート・エリスは、アメリカの臨床家で、
Rational Therapy(論理療法)を提唱しました。
前回、私たちの頭のなかの「考え」が、
私たちを不安にさせたり、焦らせたり、苦しめているという
話しをしましたが、
エリスの面白いところは、
どんな種類の「考え」が私たちを追い込むのかを
明らかにしたことです。
エリスは、Irrational Belief (イラショナル・ビリーフ)、
つまり「非合理的信念」が、私たちを苦しめるのだと言います。
3つの「絶対的要求」
その中には、「絶対的要求」というものがあります。
この「絶対的要求」は3つのものに向けられます。
一つ目が、「自分に向けられる絶対的要求」です。
例えば、「自分はいつも上手くやらなければならない」というものです。
ちょっとしたミスで落ち込んでしまう人が、
どんな風に考えて落ち込んでしまうのかを探っていくと、
そんな「要求」があり、
そこから派生して「そうでなければ、自分はダメ人間だ!!」
「そうでなければ、自分には価値がない」と、
信じているのです。
こうした信念は、その人を落ち込ませ、
罪悪感や恥の気持ちを感じさせてしまいます。
これはとても苦しいですよね。
二つ目は、「他人に対する要求」があります。
例えば、「人はいつも自分に優しく、平等に扱い、親切で、礼儀正しくなければならない」
といったものがあります。
この要求があると、「そうでなければ、みんなろくでなし!」と、
人に対する怒りとなって現れます。
最後の3つ目は、「世界に対する要求」です。
例えば、「人生は自分の思い通りになるべきだ」といったものがあります。
そして、「そうでないなら、耐えられない」
「そうでないなら、この世の終わりだ」といった信念が
派生して生じてしまいます。
こうして文章として読んでみると、
自分はそんな極端なことを考えてはいないと思われる方も、
何か落ち込んでしまったり、
恥ずかしくなったり、
誰かに対して怒りを感じたり、
人生にたいして絶望を感じているときには、
是非、あたまの中でどんなことを考えているのか、
紙に書き出してみてください。
そして、その考えに「絶対的要求」が隠れていないか、
そこから非合理的な信念が生じていないかチェックしてみてくださいね。