現実をありのままに受け止める
現実をみることの難しさ
前回のブログでは、
パニックにならないために心を落ち着ける方法として、
ヴィパッサナー瞑想について触れました。
そして、「現実をありのままに見る」ことの重要性についても。
でも、「現実をありのままに見る」って、
実はとっても難しいですよね。
では、なぜ、私たちには「現実をありのままに見る」ことが
難しいのでしょうか。
それは、私たちが物事を認識するときには、
フィルターを通して認識しているからです。
よく使われる例えは、
私たちはみな世界を見るために「色メガネ」をかけているけれど、
自分がメガネをかけていることにも気付いていないし、
それがどんなメガネなのかもよく知らない、というものです。
認知とは
心理学では、これを「認知」と呼びます。
心理学における「認知」とは、
ひとが外の世界にある対象を知覚し、
それがいったい何であるのかを「判断」したり、
「解釈」したりするプロセスのことを指します。
そして、その「判断」や「解釈」は、
その人の経験や知識に基づいて行われます。
例えば、人との関係で傷ついた経験がある方は、
知人に街ですれ違って挨拶をして返されなかったら、
「無視された」と悲しくなったり、
「何か気に触ることをしてしまったのかも」と不安になって、
次にその人に会っても距離を取ってしまうかも知れません。
あるいは、どこか自分に自信が持てずにいるかたが、
企画を提案して却下されたときには、
「自分には才能がない」と落ち込んでしまったり、
「自分はあの上司に嫌われているに違いない」と怖くなって、
次からは企画をたてることを止めてしまうかも知れません。
事実の仕分け作業
これを読んでいる方は、もう気付かれたと思いますが、
「無視された」も「自分には才能が無い」も、
「気に触ることをしてしまった」も、
「上司に嫌われているに違いない」も
すべて「事実」ではなく、「解釈」であり「判断」ですよね。
もっと言うと、それは単なる「考え」です。
けれど、この「考え」がひとを悲しませたり、落ち込ませたり、
不安にさせたり恐怖を感じさせています。
さらには人から遠ざかり、
もう企画は出さない、という「行動」につながっています。
こんな風に事実、考え、感情や行動は混ざり合って絡まりあってしまっています。
そこで、認知行動療法では
「事実」と「考え」を分けることを練習します。
上記の例でいえば、
「知人に街ですれ違い挨拶をしたら返ってこなかった」
「提案した企画が通らなかった」
というのが、事実ですよね。
認知行動療法では、この先がありますが、
まずはこの「事実と考えの仕分け作業」が出来るようになることは、
とても重要です。
是非、次に何か不安になったり、
怖くなったり、落ち込んだときには、
「事実」は何なのかを探して、
「ありのままに事実を見る」ことを意識してみてください。